静岡県御殿場市と神奈川県箱根町の境、箱根外輪山を抜ける静岡県道401号・神奈川県道736号(御殿場箱根線)のトンネルが長尾隧道(長尾トンネル)。全長160mの比較的に短く、さほど有名ではありませんが、大正3年8月に完成した、箱根では現存最古の道路用の隧道(トンネル)です。
大正3年に完成の箱根最古の道路トンネル
もともと長尾峠には、箱根裏街道が通っており、仙石原と御殿場を最短ルートとして、徒歩道時代から使われていました。
そんな歴史もあって峠の頂は、神奈川県道737号(長尾芦川線)の起点で、峠から早川へと下る山道(地形図で黄色く表示の徒歩道)が県道扱いになっています(早川と並行して芦ノ湖の北岸・湖尻水門に至る道です)。
明治43年、国道58号(東京ヨリ靜岡縣ニ達スル別路線)として計画され、戦後も昭和26年に修復され、国道138号として御殿場と箱根を結ぶ貴重な動脈となっていました。
修復前はレンガ造りのトンネルで、修復時にコンクリートで覆われています。
明治43年にどうして箱根外輪山を貫通する国道建設計画が持ち上がったのかといえば、明治41年、富士山の山麓に滝ヶ原廠舎(現・滝ヶ原駐屯地)、明治42年、板妻廠舎(現・板妻駐屯地)、さらに明治45年に富士裾野演習場(現在の東富士演習場)として正式に陸軍の演習場が開設されたから。
軍用道路として、富士裾野演習場に物資を運ぶためのルートと考えられたのです。
この国道58号の完成で(もちろん、当時は未舗装でした)、富士山望む絶景の地に馬で遊覧する人も出てきたのです。
昭和37年に乙女道路(乙女トンネル/昭和59年無料化)の完成で、メインルートを現在の国道138号に譲り、今ではトンネルの御殿場側にあった茶屋もなくなっています。
荷馬車がすれ違い可能な幅員5m、高さ4.5mという昔ながらのトンネルのため、心霊スポットといわれることも。
長尾隧道(長尾トンネル) | |
名称 | 長尾隧道(長尾トンネル)/ながおずいどう(ながおとんねる) |
所在地 | 静岡県御殿場市神山・神奈川県足柄下郡箱根町仙石原 |
ドライブで | 東名高速道路御殿場ICから約10km |
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