華厳の滝

那智の滝(那智大滝)、袋田の滝と並ぶ日本三名瀑のひとつに数えられる有名な滝で日光二社一寺の神域に位置しています。中禅寺湖から97mの高低差を一直線に水が流れ落ちる様は荘厳かつ豪快。昭和5年に営業開始という歴史ある専用エレベーターで滝壺近くまで降りれば、観瀑台から観賞できます。霧降の滝と並び、日本の滝百選にも選定。

華厳滝エレベーターで観瀑台から眺めれば迫力ある景観が

日光開山、中禅寺、日光山輪王寺創建と伝わる勝道上人(しょうどうしょうにん)が8世紀後半、日光山(男体山)に登拝する際に発見したのが華厳の滝。
当時、朝鮮からの渡来人を通じて関東にも華厳の教えも広まっていたと想像できます。
落差97m、幅7mの直瀑です。

華厳滝エレベーターを使って岩盤のなかを100mほど下り、夏でも15度という地下通路を歩けば観瀑台(滝壺まで150mほどの位置)。
華厳滝の迫力ある姿を眺めることができます。

滝を間近で観覧できるようになったのは、明治33年のこと。
それまでは、「滝見物は容易ではなく、はるか手前の断崖に突き出た岩上まで、危険な岩場を這い下り木にしがみついて眺めていた」(『郷愁の日光』)とか。
7年もの歳月をかけて星野五郎平が滝壺近くに茶屋を開いたのが観瀑台のルーツです。
当時は少し下流側から絶壁を下り、滝壺に登り返していました。
「瀧つぼを距る七八間の処に地面十数坪を作り、ここに五郎平茶屋なる風雅の茶亭を設け」(『日光名所圖會』)たのだという。

現在ではエレベーターで観瀑台へと降り立つことが可能で、もうもうと舞いあがる滝のしぶきがかかるほど間近から迫力ある姿を眺めることができます。
「梅雨明け、台風通過の後などは、中禅寺湖が増水し、迫力ある水量となります」(華厳滝エレベーター)とのこと。
逆に雨が少なく中禅寺湖の水位が下がると、放水量を制限し、水量の少ない滝を見ることになります。

実は、あまり知られていませんが国道近く、土産店の裏にも無料で眺める展望台があるので、以前に華厳滝エレベーターで観瀑台に行った人などはぜひこちらも寄り道を。

土産店裏の展望台からの眺め。滝壺は木陰で見えません

明智平ロープウェイ展望台からはジオラマ的な景観が

少し遠景にはなりますが華厳滝の全景を見渡せるおすすめポイントは、上り専用第2いろは坂の途中にある明智平ロープウェイ展望台(明智平からロープウェイ3分で展望台)。

ちなみに華厳の滝は、霧降の滝、裏見滝と併せて日光三名瀑とも、湯滝、竜頭の滝と併せて奥日光三名瀑とも、さらには日光・奥日光の三名瀑を合わせて日光五名瀑とも称されています。
「華厳瀑および中宮祠湖(中禅寺湖)湖畔」として国の名勝にも指定。

階段状になった奥日光の地形に注目

奥日光は階段状になった地形ですが、最奥に位置する湯の湖から戦場ヶ原への三岳溶岩流の崖に架かるのが湯滝。
さらに広大な湿原となった戦場ヶ原から中禅寺湖への軽石流の堆積した崖に架かるのが竜頭の滝です。
最後に男体山の噴火で中禅寺湖を誕生させた溶岩流の末端にかかるのが華厳の滝。
こういった火山活動が生んだ階段状の地形は、日本の地質百選に選定されています。

華厳の滝
名称華厳の滝/けごんのたき
Kegon Falls
所在地栃木県日光市中宮祠
関連HP日光市観光協会公式ホームページ
電車・バスでJR日光駅・東武日光駅から東武バス中禅寺温泉行き、または湯元温泉行きで45分、中禅寺温泉下車、徒歩5分
ドライブで日光宇都宮道路清滝ICから約14km
駐車場華厳の滝第2駐車場(200台/有料)
問い合わせ日光市観光協会 TEL:0288-22-1525/FAX:0288-25-3347
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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