島崎酒造(洞窟酒蔵)

島崎酒造(洞窟酒蔵)

栃木県那須烏山市にある「東力士」の銘柄で知られる酒蔵が島崎酒造。嘉永2年(1849年)創業という老舗の酒蔵で、第二次世界大戦末期に戦車製造のために掘削された地下工場跡が洞窟酒蔵になっており、仕込み時期を除いた土・日曜、祝日、GW、お盆などに予約で見学が可能です(洞窟の開放日に売店も営業)。

延長600mの坑道で「洞窟熟成酒」も製造

嘉永2年(1849年)、初代・島崎彦兵衛が下野国芳賀郡中川村(現・栃木県芳賀郡茂木町)で創業した老舗。
2代・島崎熊吉が現在の烏山に酒造庫を譲り受け、熊吉が無類の相撲好きであったことに由来する伝統の銘柄が『東力士』です。
できたばかりのもろみを吊るし、滴り落ちるお酒を集めた『極雫』など秀逸な清酒ばかりですが、昭和45年から大吟醸酒を中心とした長期熟成酒製造への取り組みを開始し、平成19年から洞窟(島崎酒造地下低温貯蔵庫)での熟成を始めています。

熟成酒のオーナーズボトル制度は5年、10年、20年間という長期間、ボトルを預ける制度もあり、出産を記念に預け、20歳の成人祝で開封するなんてことも可能。

洞窟(洞窟酒蔵)で低温熟成した「どうくつ熟成酒」の『熟露枯』など、10万本の清酒が貯蔵され、『ヴィンテージボトル大吟醸20年熟成』という逸品も。

例年3月中旬~12月末の土・日曜、祝日、ゴールデンウィーク、お盆には、洞窟酒蔵を開放し、洞窟見学が可能です(開放日以外でも、前日までの予約で見学可能)。
ファミリーでも見学も可能なので、夏休みに涼みがてら、戦争遺跡を見学するのもおすすめです。

本店は烏山の中心街にあり(那須烏山市烏山庁舎近く)、洞窟酒蔵への移動には車で5分(徒歩だと30分)ほどかかります。

土木遺産「東京動力機械製造株式会社地下工場跡」

太平洋戦争末期の昭和19年11月、東京動力機械製造が疎開先に選んだのが栃木県烏山町(現在の那須烏山市)。
島崎酒造周辺の地質は凝灰質砂岩で、爆薬を使わず手掘りでの掘削には絶好の地だったのです。
大日本帝国陸軍第14師団の師団司令部が宇都宮に置かれていたこともあってこの地が選ばれたのだと推測できます。
山裾に半地下工場が建設され、隣接してこの地下工場が掘削されたのです。
戦車製造の軍需工場として人力だけで掘削された素掘りの隧道群(ずいどうぐん)で、高さ・幅3.5mの坑道3本と連絡する5本の横坑で構成され、総延長は600mにも及んでいます。

工場が稼働すると、軍関係技術者が40名ほど、一般工員が80名ほど就労し、突貫工事で戦車を製造したのです。
半地下式工場では、終戦までに20台の戦車が製造されたと伝えられていますが、地下工場では戦車を製造することなく終戦を迎えています。
貴重な戦争遺産で、土木学会推奨土木遺産にも認定。

島崎酒造(洞窟酒蔵)
名称 島崎酒造(洞窟酒蔵)/しまざきしゅぞう(どうくつさかぐら)
所在地 栃木県那須烏山市神長
関連HP 島崎酒造公式ホームページ
電車・バスで JR烏山線滝駅から徒歩20分
ドライブで 北関東自動車道宇都宮上三川ICから約35km
駐車場 15台/無料
問い合わせ 島崎酒造 TEL:0287-83-1221
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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