松木渓谷

松木渓谷

栃木県日光市足尾町にある渓谷が松木渓谷。明治35年に廃村になった松木村(まつぎむら)跡を流れる松木川の上流にあり、足尾銅山の誕生で、煙害や山火事などで木の生えない岩峰の谷となり(足尾荒廃地)、「日本のグランドキャニオン」とも呼ばれています。現在は緑化事業が行なわれ、徐々に緑が取り戻されつつあります。

「日本のグランドキャニオン」は徒歩で到達

松木渓谷

「日本のグランドキャニオン」と呼ばれる松木渓谷は、足尾銅山の本山坑エリアの奥。
銅親水公園(あかがねしんすいこうえん)として整備され、足尾環境学習センターの建つ足尾砂防ダムのさらに奥に位置しています。

足尾砂防ダムから松木川(まつきがわ/渡良瀬川の源流部)沿いに伸びる車道を徒歩で遡って到達します(銅親水公園の少し先に車止めのゲートがあるので、車は銅親水公園の駐車場に)。
中倉山北壁は、松木ジャンダルム(スイス・アルプス山脈のアイガーにある垂直の絶壁がジャンダルム)とも呼ばれる岩峰です。

松木渓谷は、十分に木が生育していないため、土砂崩れが頻繁に起こるため、谷には谷止工と呼ばれる治山ダムが段々に設置されています。
銅親水公園から3kmほどで、日光森林管理署ヘリポート(所要は1時間ほど)。
日光森林管理署ヘリポート一帯が旧松木村の中心部です。
日光森林管理署ヘリポートのさらに奥には、冬季を除く土・日曜、祝日に「遊動楽舎(みちくさ)」がオープンし、休憩施設として利用できます。

松木村と足尾銅山公害の歴史

松木渓谷

伝承によれば、延暦9年(790年)、日光開山の勝道上人(しょうどうしょうにん)の弟子・慈雲が松木で草庵・方等寺を建立したのに始まるといい、慶長15年(1610年)、農民が黒岩山(備前楯山)で銅を発見し、以降、徳川幕府の直轄の銅山に。
幕末の嘉永6年(1853年)には、二宮尊徳が足尾郷14ヶ村を回っていますが、松木村は37戸178人が暮らし、農林業を営んでいたことがわかっています。

明治10年に足尾銅山は古川市兵衛の経営となり、銅山の発展とともに明治17年、直利橋精錬所が新設され、精錬時に出る亜硫酸ガスで松木村周辺の被害が生まれます。
当時の松木村は、イモ類300石、大麦250石、稗(ひえ)180石、はだか麦80石、大豆50石、小豆10石、大根4万5000本、ごぼう3万5000本、人参2万5000本、さらに養蚕などで収入を得ていました(明治14年の記録)。
明治20年、国内40%の銅を産出する日本一の銅山に。
明治22年に町制施行で合併が行なわれ、松木村は足尾町に。
明治26年にベッセマー式精錬法が導入され、銅の精錬料が増加するに伴い、煙害も拡大。
明治30年にようやく煙害除去を目的とした脱硫塔が完成しますが、煙害はさらにひどくなり、山林は荒廃、農業も成り立たなくなります。
明治34年に人名救助請願を旧松木村全戸(30戸)で国会に提出し、住民24人が移転に合意。
明治35年、ついに旧松木村廃村。
昭和29年、足尾砂防堰堤が完成。
昭和31年、松木渓谷を中心に本格的な治山工事を開始。
昭和48年、足尾銅山閉山。
平成12年、銅親水公園内に足尾環境学習センターが開館。

松木渓谷
名称 松木渓谷/まつきけいこく
所在地 栃木県日光市足尾町
関連HP 日光市観光協会公式ホームページ
ドライブで 北関東自動車道伊勢崎ICから約53kmで銅親水公園
駐車場 銅親水公園を利用
問い合わせ 日光市観光協会 TEL:0288-22-1525
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
足尾銅山観光

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富国強兵政策を背景に20世紀初頭には国内の銅の4割を生産していたという足尾銅山。慶長15年(1610年)に鉱床が発見され、明治16年に生産量日本一になっています。昭和9年に鉱毒流出事件を起こしたことでも有名で、閉山したのは昭和48年のこと。

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