江戸時代、伊那谷に伝承された上方の人形浄瑠璃芝居。今も現役なのが、阿南町の早稲田神社に奉納される人形芝居で、本来神に奉仕する精神が濃厚な姿として残っているところから国の選択無形民俗文化財に登録されています。8月第4日曜日早稲田神社祭礼に拝殿で奉納されるのが『三番叟』(さんばそう)です。
人形浄瑠璃芝居を早稲田神社に奉納
場所は阿南町の早稲田神社。創建時に植えたと伝えられる樹齢1200年という大杉が御神木です。
初めて神社に参拝する乳飲み子を抱えた母親たちが拝殿に昇り、神官・氏子総代・区長などが正座する前で笛や太鼓、蔭打ちに合わせて無病息災を祈願して『三番叟』を奉納。
母親とともに奉納する人形は、神と正対し決して背中を見せることがありません。この時、3人の人形使いは、白い裃(かみしも)と袴(はかま)白装束で身を覆い、神へ奉仕精神を表します。
14:00頃になると拍子木音とともにチャリ首の鼻動きが幕端から頭をぞかせて幕が上がり、三味線と浄瑠璃にあわせて本番が始まります。
明治8年、大阪から吉田朝造が来て人形を教えたことがわかっていますが、文政年間の浄瑠璃本が地元に残り、起源は定かでありません。明治から大正にかけ最盛期を迎えましたが、昭和になると一旦は衰退。昭和22年になって、早稲田人形保存会が結成され再興が図られました。昭和30年には今田、黒田、早稲田人形で「伊那人形保存協議会」結成。さらに昭和59年には、今田、黒田、早稲田、古田の人形4座による「伊那人形芝居保存協議会」が発足しています。
現在では8月第4日曜日早稲田神社祭礼に際しての奉納と、1月第2日曜に、人形仕立の神送りが行なわれています。
ニッポン旅マガジンMEMO/伊那谷と人形芝居
上方(大阪)を中心として江戸時代に栄えた人形浄瑠璃芝居。街道筋を伝って全国各地に普及しましたが、信州(長野県)では、伊那谷の街道筋にあたった各地で、江戸時代から人形浄瑠璃芝居が行なわれるようになりました。
最盛期には二十座近くの人形芝居の座がありましたが、次第に衰微し、今では早稲田人形(下伊那郡阿南町西条)、今田人形(飯田市竜江)、黒田人形(飯田市上郷黒田)、古田人形(上伊那郡箕輪町)の四座の活動に限られています。
早稲田人形芝居|阿南町 | |
開催日時 | 8月第4日曜13:00〜 |
所在地 | 長野県下伊那郡阿南町西條 |
場所 | 早稲田神社 |
関連HP | 阿南町公式ホームページ |
ドライブで | 三遠南信自動車道飯喬道路天龍峡ICから約17km |
問い合わせ | 阿南町振興課 TEL:0260-22-9406 |
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