山梨県甲州市勝沼町を流れる日川(ひかわ)に架るレトロな橋が、祝橋(いわいばし)。昭和5年に架橋されたコンクリート製アーチ橋で、大正2年に勝沼駅が開業したのを受け、ワイン醸造の中心地・祝村で醸造したワインをトラックで駅まで搬出するために設けられた橋で、国の登録有形文化財。
祝村からのワインの出荷に活躍したコンクリートアーチ橋
祝橋が架橋されるまでは、木造の吊橋だったため、ワインを積載したトラックの通行はできず、ワインの出荷にとっての日川は、難関部分だったのです(明治初年の初代、大正3年に架橋された2代目祝橋も木造の吊橋でした)。
昭和5年、橋長58.6m、幅員5mのコンクリートアーチ橋を架橋し(総工費4万458円)、そのネックを解消。
地元では「眼鏡橋」と呼ばれてきました。
交通量の増加、大型化、重量化等の要因により、昭和60年に橋長153m、幅員12m、高さ20mの新祝橋が下流側に架橋されたため、現在、祝橋は歩行者専用橋になっています。
祝村は、明治8年、八代郡藤井村・下岩崎村・上岩崎村が合併して誕生。
明治22年7月1日の町村制の施行で、祝村が自治体として独立。
昭和29年4月5日、東山梨郡勝沼町・菱山村・東雲村と合併し、東山梨郡勝沼町が発足し、祝村は消滅しています。
甲州街道の宿場である勝沼宿は、勝沼村で、祝村はその北側です。
昇仙峡の入口に架る長潭橋(ながとろばし)によく似たフォルムですが、大正14年架橋の長潭橋が山梨県のコンクリートアーチ橋の先駆け(土木学会の土木遺産に認定)。
祝橋は、長潭橋、昭和3年完成の栄久橋(南巨摩郡身延町)とともに、山梨県内に現存する戦前完成の3つのコンクリートアーチ橋のひとつです。
「甲州市のワイン醸造を支えたインフラ施設・建築物」として経済産業省の近代化産業遺産「官民の努力により結実した関東甲信越地域などにおけるワイン製造業の歩みを物語る近代化産業遺産群」にも認定。
日本遺産「日本ワイン140年史~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」の構成資産にもなっています。
勝沼エリアで、「ワイン製造業の歩みを物語る」近代化産業遺産に認定されるのは、祝橋のほかに、シャトー・メルシャンワイン資料館(旧宮崎第二醸造場)、旧田中銀行社屋・煉瓦倉庫・繭倉、龍憲セラー、勝沼堰堤、日川水制群、中央本線旧深沢トンネル(現・勝沼トンネルワインカーヴ)、旧大日影トンネル(現・大日影トンネル遊歩道)などがあります。
祝橋 | |
名称 | 祝橋/いわいばし |
所在地 | 山梨県甲州市勝沼町上岩崎・勝沼 |
関連HP | 甲州市観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR勝沼ぶどう郷駅から徒歩30分、または、市営バスで祝橋下車 |
ドライブで | 中央自動車道勝沼ICから約1.7km |
駐車場 | 勝沼氏館跡駐車場(10台/無料)を利用 |
問い合わせ | 甲州市観光協会 TEL:0553-32-2111 |
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