リニア・鉄道館 ホジ6014号蒸気動車

リニア・鉄道館 ホジ6014号蒸気動車

愛知県名古屋市港区金城ふ頭3丁目、JR東海が運営するリニア・鉄道館に静態保存されるのが、ホジ6014号蒸気動車。外見上は単なる客車にも見えますが、気動車(ディーゼルカー)のルーツとなった車両で、小型蒸気機関車に客車を被せた形状。国の重要文化財に指定されています。

工藤兵治郎が考案した現存唯一の国産蒸気動車

気動車が、現在も利用されるディーゼルエンジンに換わる以前は、客車の床上の端に小型ボイラー(B形蒸気機関車のボイラー)を装備、台車にシリンダーなどを配して自走するのが蒸気動車。
国産蒸気動車は全部で58両が利用されましたが、現存するのはホジ6014号蒸気動車のみとなっており、日本の鉄道の歴史を知る上でも実に貴重な存在です。
「本車輌は現存唯一の蒸気動車であることにくわえ、蒸気機関、動力伝達機構、台車、台枠、 車体などの保存状態が特に優れ、鉄道史、科学技術史上等の研究上に価値が高い」ということから、令和元年7月、国の重要文化財に指定されています(JR東海が所有する車両としては初めての指定)。

国内で使われた蒸気気動車は、工藤式が48両、ガンツ式(ハンガリーに現存する鉄道車両メーカーであるガンツ社の設計で、鉄道院の車両工場で組み立て)が7両、セルポレー式(東京馬車鉄道や名鉄瀬戸線の前身、瀬戸自動鉄道がフランスから輸入しましたが実用に不向きでした)が3両で、このホジ6014号蒸気動車は、大正2年3月に汽車製造合資会社(「日本の鉄道の父」井上勝が、鉄道庁長官を退官し、明治29年に創立した日本初の民間機関車メーカー)で製造され、鉄道院に納入されたもの(ホジ6013~ホジ6016が同時に製造されました)。
神戸鉄道管理局、九州鉄道管理局に所属し、戦時下の昭和18年に運用が終わり、名古屋鉄道に移管、犬山遊園、昭和42年から博物館明治村での展示を経て、平成23年の開館時からリニア・鉄道館で保存展示されています。

48両が使用された工藤式は、汽車製造の設計掛長(係長)を経て枝光鐵工所の取締役技師長となった工藤兵治郎(くどうへいじろう)が明治42年に考案した方式で、動力機構は蒸気機関車とほぼ同じで、取扱・保守点検に工夫が凝らされ、関西・九州方面で小規模・短距離の輸送に貢献しました(当時は「自働車」と称されました)。

機関室と記された下、台車部分を眺めると、蒸気機関車の動輪のような感じがよくわかります。
「定員八〇」と白色で記されているのは、完成当初の写真を見て、往時のままに復元したためで、機関室の文字など細部までこだわりがあります。

ちなみに、 JR九州が運営する九州鉄道記念館に展示のキハ42055号気動車(国の重要文化財)に関して、JR九州は「気動車としては日本初の重文指定」としていますが、「ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載した気動車としては日本初」で、それ以前に活躍した蒸気気動車の存在があり、気動車(ディーゼルカー)のルーツはこのホジ6014号蒸気動車ということになります。

リニア・鉄道館 ホジ6014号蒸気動車
名称 リニア・鉄道館 ホジ6014号蒸気動車/りにあ・てつどうかん ほじ6014ごうじょうきどうしゃ
所在地 名古屋市港区金城ふ頭3-2-2
関連HP リニア・鉄道館公式ホームページ
電車・バスで 名古屋臨海高速鉄道金城ふ頭駅から徒歩2分
ドライブで 伊勢湾岸自動車道名港中央ICから約800m
駐車場 なし/周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ リニア・鉄道館 TEL:052-389-6100
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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