1998年(平成10年)12月2日、世界文化遺産に登録された「古都奈良の文化財」(Historic Monuments of Ancient Nara)。当時、日本で9件目となる登録で、ユネスコ世界遺産で唯一、登録エリア内を鉄道が走るという異色の世界遺産にもなっています。
世界遺産に登録された理由とは!?


奈良時代は、日本の歴史のなかで実は大きなウエイトを占めています。
古都・奈良には、710年〜784年までの間、都が置かれ、政治・経済・文化の中心として栄えました。
とくに仏教は、国を守るための鎮護国家(ちんごこっか)の手段とみなされ、南都六宗(なんとろくそう=三論宗・成実宗・法相宗・倶舎宗・華厳宗・律宗)は、学問的サークルのような要素もあって、多くの建築物、文化、学問を生み出しています。
都が京に移った後、天台宗と真言宗が生まれますが、奈良時代の宗教は、むしろ学問的な要素が強く、教義を学び合う学派といった感じでした(民衆の救済活動に重きをおいた仏教が生まれるのは、平安時代以降です)。
天平15年(743年)に発願され、天平勝宝4年(752年)に完成した大仏造立は、聖武天皇の発願を僧・行基、良弁らが実現したもの。
また諸国に建立した国分寺(金光明四天王護国之寺)、国分尼寺(法華滅罪之寺)も鎮護国家が目的で、東大寺がその総本山としての役割を担っていました。
奈良時代、僧侶はまさに国家公務員的な存在だったのです。
この時代に中国(唐)との交流を通して日本文化の原型が形成、そして中国の模倣でない独自の文化へと昇華していきました。
首都が京へ移った後も、大社寺を中心にした地域が宗教都市として存続、訪日外国人観光客に人気の鹿は、神の使いとされて今も保護されているのです。
世界文化遺産の構成資産には、こうした奈良時代の歴史、奈良の都の繁栄を背景に、平城宮の宮跡、奈良時代からの寺院・神社(明治初年に神仏分離が行なわれています)が中心です。
世界遺産「古都奈良の文化財」構成資産8 全リスト
| 施設名 | 所在地 | 内容(早わかり) 文化財 | |
| 1 | 東大寺 | 奈良市 雑司町406-1 | 聖武天皇の発願で建立 国の総力を挙げた大事業で誕生 空前絶後の巨大な建物群 本尊は奈良大仏(盧舎那仏) 2度の兵火で多くの建物を焼失 |
| 国宝は、大仏殿(金堂)、大仏(盧舎那仏像)、 南大門、二月堂、法華堂(三月堂)、開山堂、 鐘楼、転害門、本坊経庫など多数 重要文化財は、東楽門、東回廊、西楽門、西回廊 中門、法華堂経庫、法華堂手水屋、法華堂北門、 四月堂、二月堂参籠所、念仏堂など多数 | |||
| 2 | 興福寺 | 奈良市 登大路町48 | 南都七大寺の一つで、藤原氏の氏寺 主要堂塔は天皇や皇后によるものが多数 (藤原氏と朝廷との密接な関係の象徴) 造営工事も朝廷の直営で実施 本尊は中金堂の釈迦如来 奈良公園は江戸時代まで興福寺の境内でした |
| 国宝は、東金堂、五重塔、北円堂、三重塔 彫刻・工芸品など多数 重要文化財は、大湯屋、南円堂 彫刻・絵画など多数 | |||
| 3 | 春日大社 | 奈良市 春日野町160 | 全国に3000社ほどある春日神社の総本社 春日山・御蓋山は神が降臨する山で神聖視 平城京の守護を祈願するために創建 中臣氏・藤原氏の氏神(春日神)を祀る 神仏習合で興福寺と一体化 |
| 国宝は、本殿4棟、美術工芸品多数 重要文化財は、本社23棟、若宮神社4棟など 美術工芸品に多数 | |||
| 4 | 春日山原始林 | 奈良市 春日野町 | 250haの広さを誇る原始の森 春日大社の神山として自然が保護 明治になって国有地となり、奈良公園に編入 |
| 国の特別天然記念物 照葉樹林は国の名勝 | |||
| 5 | 元興寺 (がんごうじ) 元興寺極楽坊 | 奈良市 中院町11 | 6世紀に蘇我馬子が建立した飛鳥寺がルーツ 平城京遷都とともに奈良に移転 南都七大寺のひとつ 奈良時代には東大寺、興福寺と並ぶ大寺院 本尊は板絵智光曼荼羅 |
| 国宝は、本堂、禅室、五重小塔 重要文化財は、東門、仏像など 境内は国の史跡「元興寺極楽坊境内 | |||
| 6 | 薬師寺 | 奈良市 西ノ京町457 | 南都七大寺の一つで、天武天皇の開基 平城京遷都で、藤原京から移転 本尊は薬師三尊 火事や戦火で焼失し、創建時の建物は東塔のみ |
| 国宝は、東塔、東院堂、仏像など 重要文化財は、南門、休岡八幡神社社殿、 休岡若宮社社殿、仏像多数 薬師寺旧境内は史跡 | |||
| 7 | 唐招提寺 (とうしょうだいじ) | 奈良市 五条町13-46 | 唐からの渡来僧・鑑真の創建 戒律を日本に伝えた寺 (戒律を学ぶための寺) 僧坊・食堂などが最初に建立 律宗の総本山で本尊は盧舎那仏 |
| 国宝は、金堂、講堂、鼓楼、経蔵、 宝蔵、仏像など多数 重要文化財は、礼堂、旧一乗院、 絵画・彫刻など多数 | |||
| 8 | 平城宮跡 (へいじょう きゅうせき) | 奈良市 二条大路南3 | 平城京の中央北端に位置する宮跡 東西1.3km、南北1km、面積130ha 大極殿、朝堂院、内裏、役所などが揃う 平城宮跡歴史公園として整備 第1次大極殿、朝堂院、朱雀門などが復元 |
| 平城宮跡出土木簡が国宝に 平城宮跡として国の特別史跡 平城宮東院庭園は、国の特別名勝 |
| 世界遺産「古都奈良の文化財」構成資産8 全リスト | |
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