昭和58年公開の映画『南極物語』で、主演の高倉健が演じる潮田暁が降り立った原野の中の秘境駅が、宗谷本線・抜海駅(ばっかいえき)。サロベツ原野の秘境駅、「抜海」というネーミングもあって、全国から鉄道ファンだけでなく映画ファンも訪れる駅ですが、いよいよ廃止が現実的に。
サロベツ原野にある「最北の秘境駅」は開業100周年
花咲くサロベツ原野、広大な牧草地、原野から海越しに利尻岳(利尻富士)を眺望というロケーションは、旅好きを唸らせていますが、残念ながら多くの人は、レンタカーで訪れるのが現実。
JR北海道によると、過去5年間で1日の平均利用者は2.2人。
1日7本の列車が停車しますが、降りる人も乗る人もほとんどいない状況です。
当然、駅前には何もなく、ただサロベツ原野が広がるだけということから、鉄道ファンには「最北の秘境駅」として有名です。
JR北海道は、乗客の減少を理由に、廃止の意向を示してきましたが、地元稚内市では3年間にわたっておよそ200万円ほど必要な維持管理費を負担し、稚内駅を存続させてきました。
そんな稚内市ですが、2024年6月、3年間の最後となる2024年度で維持管理費の負担を終了することをJR北海道に伝えていているので早ければ2025年3月31日にも廃止されることに。
抜海駅は1924年(大正13年)に開業しているので、2024年で開業100周年。
映画のロケに使われた木造駅舎は、今も昔のままに現存。
周囲は笹原という状況なので、あまり利用する人もいないのが現状です。
3年間にわたって維持費を負担した稚内市は、その間に、地域住民と存廃の協議、代替交通機関の調査を行なった結果、代替手段としての乗り合いタクシーの運行にも目処がついたことで、費用の負担をやめ、廃止に踏み切ることにしたのです。
高校生や高齢者の意見も、乗り合いタクシーの方が利用しやすいということだったとしていますが、地域住民らは11月、オンラインで駅存続の署名を募り、集まった駅存続を求める6800人の署名を稚内市に提出しています。
「観光の観点だけで未来永劫、駅を残すという判断はできない」というのが稚内市の姿勢で、2025年3月のダイヤ改正にあわせて廃止される可能性が大ということに。
抜海駅から南稚内駅へと向かう車窓で、いきなり海越しの利尻岳がという感動的なシーンは、駅が廃止されても残されますが、そのシーンとともに多くの旅好きは、「抜海」という名を頭に刷り込んできたので、惜しむ声も大きいのです(「利尻の見える小さなお宿 ばっかす」の主人、伊東幸さんはこのシーンに感動、抜海に民宿を開業しています)。
映画『南極物語』のロケ地、抜海駅が廃止に | |
所在地 | 北海道稚内市抜海村クトネベツ |
ドライブで | 稚内空港から約20km |
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