浦安市郷土博物館

千葉県浦安市にある体験型のミュージアムが、浦安市郷土博物館。かつては、漁業の町だった浦安の歴史、民俗を紹介する郷土博物館で、浦安の海の生物を水槽に展示し、ジオラマや映像を交えて解説。野外展示館「浦安のまち」は昭和初期から昭和20年代後半の漁師町・浦安を再現しています。

浦安市は海岸の埋め立てで面積が4倍に!

浦安市郷土博物館

浦安という地名は、明治22年に当代島村、猫実村(ねこざねむら)、堀江村が合併したときに誕生した名前で「安らかな浦」という意味合いがあります。

昭和39年から始まった公有海面埋め立て事業(昭和55年終了)で、浦安市の面積はなんと4倍にも広がっています。
逆にいえば浦安市の4分の3は、埋立地。
昭和23年に4.43平方キロだった面積は、令和6年には18.79平方キロまで拡大しているのです。

昭和20年代まで浦安は旧江戸川河口部の低湿地の町で、海苔の養殖や貝の採取の漁師町として繁栄していました。
現在のJR京葉線・新浦安駅でさえ埋立地ですが、実際の海岸線はさらにその2.5kmも先にあることから、いかに埋立地が広いのかがわかります。

浦安市のこうした激変を学ぶことができる浦安市博物館は、浦安市役所の向かい。
テーマ展示室は、令和5年4月1日にリニューアルオープン。
浦安の原風景、漁師町浦安、土地の成り立ち、江戸の発展とともに、漁師町への成長、漁師町の繁栄、低地の農業(半農半漁の集落だったことの紹介です)、海苔のまち・貝のまち・漁業のまち、新しいまちへの転換、まちの発展、海浜都市への躍進と、浦安の歴史を紹介するほか、浦安の自然も詳しく解説しています。

船の展示室「海を駆ける」では浦安の海で活躍した数種類の木造船・櫓や櫂・エンジンとそれらの船を製造するのに使用した舟大工道具を展示し、木造船の造船場を再現しています。

浦安市郷土博物館
かつて東京湾にいた魚などを飼育する水槽

浦安はかつて漁業、海苔の養殖で繁栄した漁師町だった

浦安市郷土博物館

浦安はかつてアオギス、ボラ、イワシなどを水揚げする東京湾有数の漁場がありました。
さらに海苔の養殖では千葉県では一番の生産地。
市場である東京が近いこともあり、とれたての魚は自転車に載せられ行商で売られることも多かったのです。

東京湾の埋め立てなどにより昭和46年4月に行なわれた浦安町漁業協同組合の臨時総会で漁業権の全面放棄が決定し、今では生活の糧としての漁業はまったく行なわれていません。
またかつての特産だったアオギスも今では幻の魚に。

野外展示館「浦安のまち」は、漁師の家や海苔製造所、茅葺き(かやぶき)の長屋などが移築され、昭和初期から20年代後半の漁師町・浦安を歩くことができます。
たばこ屋(旧本澤家住宅)、漁師の家(旧吉田家貸家住宅)、魚屋(旧太田家住宅)は浦安市の文化財、三軒長屋(浦安の三軒長屋)は千葉県の文化財に指定されています。

また、海苔採り用1人乗りの小型木造船「べか舟」も展示され、実際に漕ぐことも可能。

館内のカフェレストラン「すてんぱれ」では名物のあさりめしが味わえます。あさりめしセット、あさり丼セットで土・日曜には売り切れになることも。
法人訓練施設内で製造された手作りのスイーツ(マドレーヌ、パウンドケーキなど)とコーヒーでひと息つくことも。
「すてんぱれ」は、浦安市の方言で抜けるような晴天を表す言葉で、障がい者就労移行支援のレストランでもあるので、ぜひご利用を。

浦安市郷土博物館

山本周五郎の『青べか物語』と浦安

海苔漁に使われたべか舟は、幅が狭いのが特長ですが、海苔採りをするとき、棚の間隔4尺(1.2m)に入りやすくするための設計。
当初は手漕ぎでしたが、後にエンジンが付けられ、電気掃除機のような長い柄がついたモーター付きの採取機で海苔を吸い取っていました。
山本周五郎の『青べか物語』は、 「浦粕町(うらかすまち)は根戸川のもっとも下流にある漁師町で、貝と海苔と釣場とで知られていた」と記されていますが、この浦粕町はもちろん、浦安のこと。
山本周五郎は昭和3年から2年ほど浦安で暮らしていますが、当時は鉄道もなく、浦安と東京を結ぶ唯一の交通手段は小名木川や旧江戸川を行き来した乗合蒸気船だったのです。

蒸気河岸にあった老舗の船宿 「吉野屋」の2階に半年ほど寄宿し、やがて一軒家を借りていますが、この「吉野屋」は今も釣り船、屋形船などの営業を行なっています。

べか舟
べか舟
浦安市郷土博物館
名称浦安市郷土博物館/うらやすしきょうどはくぶつん
所在地千葉県浦安市猫実1-2-7
関連HP浦安市郷土博物館公式ホームページ
電車・バスで地下鉄東西線浦安駅からおさんぽバス医療センター線(新浦安駅行)で7分、健康センター下車、徒歩2分
JR新浦安駅からおさんぽバス医療センター線(東京ベイ医療センター行)で13分、健康センター・郷土博物館下車、徒歩2分
JR京葉線舞浜駅から京成バス千葉ウエスト6系統利用も可能
ドライブで首都高速湾岸線葛西ランプから約5.3km
駐車場浦安市役所総合駐車場(120台/無料)
問い合わせ浦安市郷土博物館 TEL:047-305-4300/FAX:047-305-7744
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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