群馬県吾妻郡草津町、標高2160mの成層火山、白根山(草津白根山)。本白根山(2171m)と国道を隔てた北側に位置するのが白根山と呼ばれる山体で、シンボルの火口湖・湯釜があります。白根山は今も活発な火山活動を続けており、火山活動の活発の場合は、長期間、立入禁止になります。
世界でもっとも強酸性の火口湖
白根山周辺の火山活動は、山上ということもあり記録に残るものでもっとも古いものが、文化2年(1805年)の湯釜での水蒸気爆発と推測されるもの(信州側に大量の降灰)。
ところが、明治15年7月初め頃から鳴動があり、8月6日、湯釜西方で爆発し多くの爆発火口を生じています。
それまでは、湯釜周辺には草木が茂っていましたが、明治15年の爆発以降は草木が一本も生えない荒涼とした山肌に。
水釜、湯釜、涸釜(北東から南西に並ぶ3つの火口湖)は酸性泉となったのです(国土地理院の地形図に、湯釜内に噴気の記号があります)。
白根山の火口部全体は、直径1kmもあり、湯釜、涸釜、水釜の3つの火口湖が、pH0.86という世界一の酸性の湖水をたたえています(湖水の表面温度は30度くらいで、結氷しません)。
火口には近づくことはできませんが、草津白根レストハウス横の駐車場に車を置き、20分ほど歩いた展望台からは、直径300m、水深30mという最大の火口湖、湯釜を眺望。
展望台までの道は、複合火砕丘と呼ばれる丘の斜面で、火山弾、火山灰などが積み重なったもの。
湖水がエメラルドグリーンに見えるのは、水に溶け込んでいる鉄イオンや硫黄などの微粒子の影響。
白根山の山頂は硫化水素ガス発生のため立ち入りが規制されている(レベル1の平常時には湯釜を中心に半径500m以内は立ち入り禁止、レベル2は1kmに拡大)。
白根山と本白根山の鞍部にある弓池も火口湖のひとつで、明治35年には弓池北東岸が爆発し、円錐形の火口を誕生させています。
湯釜も、大正14年、昭和2年、昭和7年、昭和12年〜14年(爆発を繰り返す)、昭和17年、昭和51年、昭和57年と小爆発を繰り返しています。
南側のコマクサ群落で知られる本白根山(火山活動に関してはノーマークでした)では、平成30年1月23日、3000年ぶりという噴火があり(噴石で1人死亡 11人重軽傷)、複数の噴火口を生んでいます。
火山活動に関して、最新の情報を、白根山駐車場に隣接する草津白根パークサービスセンターで情報を入手してから散策を。
戦前は硫黄を産出する鉱山が
草津に滞在していたベルツ博士は、噴火のわずか4日後に湯釜内に入り、火山ガスが立ち込め、火山性の鳴動が轟くなか、煮えた泥湯を柱になって噴出する光景を、「真の地獄」と表現しています。
有名なナウマンも現地で測量し、地図を残しています。
第二次世界大戦以前は、火薬の原料になる硫黄が高価だったので、危険な湯釜内部でも露天掘りで硫黄の採取が行なわれていました。
火口周辺には作業小屋が並び、運搬用のトロッコの軌道(涸釜と湯釜も鉱山軌道で結ばれていました)や、空中ケーブルが敷設されていました。
まさに山上の硫黄鉱山だったのです。
露天掘り以外にも、高濃度の火山ガスを利用し、火山ガスを集めて冷却し、硫黄を作り出すという方法も採用されていました。
作業中に小爆発が起こり、犠牲が出たことも。
戦後は、化学合成される硫黄に勝てず、昭和30年代の観光化直前に廃業しています(昭和35年に白根火山ロープウェイ営業開始、平成30年の本白根山の爆発で廃止に)。
白根山湯釜 | |
名称 | 白根山湯釜/しらねさんゆがま |
所在地 | 群馬県吾妻郡草津町草津白根国有林内白根山 |
関連HP | 草津温泉観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR長野原草津口駅からJRバス白根火山行きで1時間、終点下車、徒歩20分 |
ドライブで | 関越自動車道渋川伊香保ICから約70kmで草津白根レストハウス |
駐車場 | 草津白根駐車場(500台/有料)、11月中旬~4月上旬は道路未開通のため閉鎖 |
問い合わせ | 草津温泉観光協会 TEL:0279-88-0800 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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