中筋遺跡

中筋遺跡

群馬県渋川市にある、古墳時代の榛名山噴火関連遺跡のひとつが、中筋遺跡。6世紀初頭に噴火した榛名山二ツ岳の火砕流で被災し埋没した古墳時代の集落跡の遺構で、竪穴式住居4軒、平地式建物5棟、祭祀遺構、垣根、道、畠などが発掘され、「日本のポンペイ」といった様相を呈しています。

1500年前の秋、集落は火砕流に襲われ、放棄された!

中筋遺跡

平成5年に史跡公園として公開され、竪穴式住居3軒と平地式建物、祭祀跡、垣根などを復元。
とくに竪穴式住居1軒、平地式建物は内部も復元され、古墳時代の生活がよくわかります。

祭祀場(さいしじょう)では、イノシシを生贄(いけにえ)に、稲を備えて、豊猟、豊作を祈願していました。

6世紀、榛名山二ツ岳の大爆発は2回あり、初めの噴火では火山灰を、二度目の噴火では大量の軽石を噴出していますが、中筋遺跡は、最初の噴火の火砕流と火山灰で埋まった遺跡です。
火砕流は、平成3年の雲仙普賢岳のものよりも激しいもので、利根川近くまで到達しています。

火山灰に続いて火砕流で一瞬にして埋没したため、通常の遺跡では発見されることのない、当時の地表面がそのまま残され、古墳時代の生活を知る多くの手がかりを得ることができたのです。
竪穴住居や平地式建物の建築部材は、吹き飛ばされながらもかなりの部材が炭となって残存し、建物の上屋構造を復元する貴重な情報を得ることができたのです(屋根の草葺きの表面には土をかぶせていたことも判明)。
子持地区の黒井峯遺跡とともに、古墳時代の集落に対するイメージを大きく塗り替ることになった貴重な遺跡。

渋川市によれば、榛名山噴火関連遺跡は25ヶ所もあるとのことですが、公園として整備され、古墳時代の住居が復元されるのは中筋遺跡だけ。

中筋遺跡
名称 中筋遺跡/なかすじいせき
所在地 群馬県渋川市行幸田796
関連HP 渋川市公式ホームページ
電車・バスで JR渋川駅から渋川温泉~渋川スカイランドパーク線・渋川温泉行きで10分、豊秋公民館入口下車、徒歩5分
ドライブで 関越自動車道渋川伊香保ICから約6km
駐車場 5台/無料
問い合わせ 渋川市文化財保護課 TEL:0279-52-2102/FAX:0279-52-4008
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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