辰鼓楼

辰鼓楼

兵庫県豊岡市出石町、出石城の城下町で、「出石城下三千軒」と呼ばれた町並み(豊岡市出石伝統的建造物群保存地区)のシンボル的存在が、辰鼓楼(しんころう)。明治4年に太鼓を鳴らし時を告げる太鼓櫓として築かれたもので、現存する最古級の時計台です。

出石の医師・池口忠恕が機械式時計を寄贈

辰鼓楼の建物自体は、明治4年4月14日(1871年6月1日)に完成した太鼓楼です。
廃藩置県は明治4年7月14日(1871年8月29日)なので、出石藩の最後の藩主・仙石政固(せんごくまさかた)が明治2年6月17日(1869年7月25日)の版籍奉還で藩知事となっていましたが、藩政時代同様に辰の刻に登城する際に、太鼓を打ち鳴らすためのものです。

その後、東京の佐藤順天病院で西洋医学を学び、明治13年に出石に医院を開いた池口忠恕(いけぐちちゅうじょ)が、大病を患った際、多くの人が見舞ってくれたお礼にと、オランダ製の機械式大時計を取り寄せ寄贈。
さらに、町の青年2人を東京に派遣して、時計作りやメンテナンスの技術を学ばせ、明治14年9月8日に太鼓楼が時計台となったのです。

札幌にある札幌農学校演武場の時計台(現・札幌市時計台)が明治14年8月12日に稼動しているため、日本最古の時計台という地位をわずか27日遅れで譲っていますが、日本最古級には間違いありません。

池口忠恕は、明治41年、58歳の若さで脳溢血で亡くなり、願成寺(出石町東條)に埋葬されていますが、葬儀は出石町始まって以来という会葬者が沿道数町を埋め尽くしたと記録されています。
薬代が払えないという貧しい農家には、薬を受け取りに荷車で来いと伝え、蔵から米を出して荷車に積んだという『扶氏医戒の略』(ドイツの医者フーフェランドの医学書を緒方洪庵が和訳/医師は己の利益のためでなく、患者を救うために全力を尽くすべき)を実践した名医だったのです(池口忠恕は、明治4年2月〜11月、大阪の緒方洪庵の適塾で学んでいます)。

辰鼓楼

9月8日は、「いずし時の記念日」

地元の「さらそば甚兵衛」店主で、永楽館にも鳥肌亭ピリカ(さぶいぼていぴりか)の名で高座に上がる渋谷朋矢(しぶやともや)さんが、ライフワークとして出石の歴史を調べ上げ、それまで観光パンフレットにも「日本最古」と記されていた辰鼓楼が、実は日本で2番目ということを突き止めたのです。

弘道小学校の明治14年の日誌に9月8日から稼動と記されていたことが判明、以来、ポスターなどには正直に「日本最古年の時計台」と表示されるように。
9月8日は、「いずし時の記念日」にもなっています。

辰鼓楼
名称 辰鼓楼/しんころう
所在地 兵庫県豊岡市出石町内町
関連HP 出石まちづくり公社公式ホームページ
電車・バスで JR豊岡駅から全但バス出石行きで30分、出石営業所下車、徒歩5分
ドライブで 北近畿豊岡自動車道八鹿氷ノ山ICから約10km
駐車場 西の丸市営駐車場(有料)、大手前駐車場(有料)
問い合わせ 但馬國出石観光協会 TEL:0796-52-4806
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

時計台

札幌農学校の演武場として明治11年に建てられた、国の重要文化財。設計、監督は、当時の開拓使工業局が担当。意匠は簡素で、デコレーションの少ないアメリカ中・西部の建築様式の影響を受けています。時計台の時計は振り子時計で、おもりは、豊平川で採石し

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