尾瀬沼

日光国立公園尾瀬地域の東側、標高1660mにある周囲約7kmの沼が尾瀬沼。燧ヶ岳(ひうちがたけ、標高2356m)など2000m級の山々に囲まれ、沼越しに山々を望む絶景の地。今でこそ静寂な沼ですが、実は8000年ほど前に燧ヶ岳山頂部で生じた沼尻岩なだれで沼尻川(只見川の源流)がせき止められて誕生したものです。

燧ヶ岳の沼尻岩なだれ生まれた尾瀬沼

尾瀬ヶ原と並んで尾瀬を代表する景勝地で、燧ヶ岳の噴火により尾瀬を流れる沼尻川がせき止められてできた尾瀬沼。
標高1665mに位置し、東西2Km、南北1.2Km、周囲約7kmで、水面に燧ヶ岳の姿を映す美しい沼です。
最深部でも10mほどで、ヒメマスやニジマスのほか、ヤマメ、イワナ、フナなど約10種類の魚が生息しています。

燧ヶ岳の山頂部には「燧ヶ岳」の標柱が立つ柴安嵓(しばやすぐら/2356m)、その隣に爼嵓(まないたぐら/2346.2m)がそびえていますが、8000年ほど前の山頂部の山体崩壊に伴い、ナデッ窪に沿って大量の土砂が沼尻川へと流れ込み、尾瀬沼が誕生しました。

尾瀬沼側から眺めると燧ヶ岳の左下側が、沼尻岩なだれの跡(流れ山)。
天然のダムである尾瀬沼の水の一部は三平下(さんぺいした)で取水され、水力発電(東京電力)に利用されています。
実は尾瀬国立公園に指定される尾瀬の群馬県側の土地は、利根発電が大正5年に取得したものを東京電力が受け継ぎ、東電の私有地となっているのです。

沼東畔には尾瀬の山小屋の最古参、長蔵小屋を中心に、尾瀬沼ビジターセンターなどが建ち、ここが尾瀬沼探勝の基地。
長蔵小屋から北岸を通る沼田街道を行くと、ニッコウキスゲの大群落がある大江湿原、尾瀬沼南岸をまく徒歩道を歩けば、ミズバショウの群落と燧ヶ岳を眺望します。
尾瀬沼一周は2時間強。

尾瀬沼への最短ルート 沼山峠→尾瀬沼

尾瀬沼への最短ルートは、沼山峠休憩所~沼山峠~沼山峠展望台~大江湿原~小淵沢田代分岐~大江湿原分岐~尾瀬沼ビジターセンターで片道1時間(2.8km)ほど。
晴れていればピクニック気分で到達できます。
これに尾瀬沼一周をプラン加えると沼山峠から往復4時間30分〜5時間ほど。
沼山峠駐車場〜(20分)〜沼山峠展望台〜(20分)〜大江湿原〜(20分)〜尾瀬沼ビジターセンター

ニッコウキスゲ咲く初夏の大江湿原

沼田街道が横切る尾瀬沼

関ヶ原合戦の1600(慶長5)年、初代沼田城藩主・真田信之(真田信幸/大河ドラマ『真田丸』では大泉洋が熱演)が、沼田街道(上州側では会津街道)を整備。この沼田街道、現在の七入から沼山峠、大江湿原、尾瀬沼、三平下を通って一ノ瀬に至る登山道(「ふくしま遊歩道50選」)にあたります。
会津と上州を結ぶ交易路で、会津側からは米や酒、上州側からは油や塩・日用雑貨などが馬の背で運ばれ、尾瀬沼のほとりの三平下のあたりに交易所が設置されていました。
幕末の戊辰戦争(1868年)では、旧幕府軍(会津藩)が新政府軍を迎え撃つため、大江湿原に防塁を築いています。
尾瀬沼には、かつて渡し船、ボートがあり、登山者も利用することができました。
国立公園特別保護地区、特別天然記念物に指定されたことを受け、ボートは昭和42年に、渡し船は昭和47年に廃止されています。

燧ヶ岳から眺めた尾瀬沼。南岸を沼田街道が通る
尾瀬沼
名称尾瀬沼/おぜぬま
所在地福島県南会津郡檜枝岐村燧ケ岳
関連HP尾瀬檜枝岐温泉観光協会公式ホームページ
檜枝岐村公式ホームページ
電車・バスで野岩鉄道会津高原駅から会津乗合自動車バス尾瀬沼山峠行きで1時間55分、終点下車、徒歩55分で長蔵小屋、さらに徒歩1時間で沼尻休憩所
ドライブで磐越自動車道会津若松ICから約114kmで御池駐車場
駐車場御池駐車場(450台/有料)
問い合わせ尾瀬檜枝岐温泉観光協会 TEL:0241-75-2432
檜枝岐村観光課 TEL:0241-75-2503
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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