福井県敦賀市刀根にある明治14年に開通した北陸線のトンネルが小刀根トンネル。全長56m、高さ6.2mという短いトンネルですが、現存する日本最古の鉄道トンネルです。北前船の大動脈である日本海側と敦賀港と琵琶湖舟運の起点、長浜を結ぶ北陸線の開通を目指して開削されたトンネルのひとつです。
日本人技術者の手による鉄道トンネル
小刀根トンネルは、日本人技術者の手によるトンネルとしては、逢坂山トンネルに次ぐもの。
トンネルの内部は、岩盤の露出部分とイギリス積みのレンガ2段という構造で、当時の技術をそのまま伝えています。
逢坂山トンネルは改修されているため、往時のままに現存する最古のトンネルになっています(土木学会の選奨土木遺産)。
長浜~敦賀間の測量は、イギリス人技師らにより、大阪~京都間の測量よりも早い明治4年に開始され、明治12年に長浜~柳ヶ瀬~敦賀、そして琵琶湖湖上の大津〜長浜は鉄道連絡船ということで工事が始まりました。
長浜~敦賀間の鉄道建設は、日本人技術者の手による工事で、琵琶湖を使って物資を運び、長浜へと陸揚げするために、木造外輪蒸気船「長浜丸」を建造しています。
明治15年3月10日、最後の難関となった柳ヶ瀬トンネルを残し、北陸線長浜~柳ヶ瀬間と柳ヶ瀬トンネル西口~金ヶ崎間が開通しています(長浜~敦賀間の全通は明治17 年4月16 日)。
明治15年には太湖汽船会社が長浜〜大津の琵琶湖に鉄道連絡船の運航を開始。
明治16年9月に就航した蒸気船、「第一太湖丸」、「第二太湖丸」は、湖の船としては日本最初の鉄船でした(明治22年、長浜〜大津の鉄道開通で廃止)。
この長浜〜敦賀の開通により、明治35年にシベリア鉄道の発着地であるウラジオストクと敦賀を結ぶ鉄道連絡船が就航し、明治45年に欧亜国際連絡列車が運転されるようになりました。
小刀根トンネルを使う北陸本線は、昭和32年に新線が開通し、昭和39年5月11日に廃止になっています。
現在は歩行者が通行できるトンネルとして福井県道140号(敦賀柳ヶ瀬線残存)の横に現存。
小刀根トンネルは、柳ヶ瀬トンネル、山中峠を越える旧北陸線トンネル群などとともに、日本遺産「海を越えた鉄道〜世界へつながる 鉄路のキセキ〜」の構成資産にもなっています。
ちなみに、鉄道省が設計し、昭和11年に製造が始まったD51形蒸気機関車(通称デゴイチ)はこのトンネルのサイズ(車両限界)を参考に設計されたといわれています。
小刀根トンネル | |
名称 | 小刀根トンネル/ことねとんねる |
所在地 | 福井県敦賀市刀根 |
関連HP | 敦賀市公式ホームページ |
ドライブで | 北陸自動車道敦賀ICから約10km |
駐車場 | 2台/無料 |
問い合わせ | 敦賀市文化振興課 TEL:0770-22-8152 /FAX:0770-23-6944 |
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