国東半島の根元、杵築城のある海岸線から国道10号を宇佐方面に走ったところにある、杵築市山香温泉センター。大分空港からも、別府駅からもクルマで約40分という好立地。外観は古民家風で素朴な佇まいですが、「日本一のおんせん県」をPRする大分県でも濃度ナンバーワンを誇っています。
大分県で一番濃い塩化物泉は、これでもかという濃厚さ
杵築市山香温泉センターは、古くは神塩鉱泉(こうじおこうせん)と呼ばれていました。
歴史を紐解くと、立石川と小谷川の合流付近の川底から、塩分を多量に含んだ鉱泉が湧出、付近の民家ではこの塩を「清めの儀式」に用いたので神塩の地名が今に残るといいます。
昔は、この鉱泉を利用して、付近の農民のため湯治場が営まれていましたが、平成4年、山香町(やまがまち=平成17年に杵築市に)が民間の源泉を買い取ってボーリングを行ない、32度の温泉が湧出、山香温泉センターとして一般開放されました。
毎日通う常連客も多く、地元のお年寄りたちの大切なコミュニテイの役割を果たすとともに、県内外の温泉好きには「隠れた秘湯」として高く評価されています。
男女ともに浴槽は2つあり、深さと温度に違いがあります。
源泉名は山香温泉センター、源泉温度33.7度、pH6.7、無色澄明強塩味でほとんど無臭。
泉質表示はナトリウム-塩化物強塩泉、中性高張性低温泉。
泉質別適応症(この泉質ならではの適応症)は、きりきず、抹消循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症。
「日本一のおんせん県おおいた」の中でも、濃さナンバーワンの塩化物温泉と呼ばれているので、それを深堀りすると・・・
成分総計の必要条件は、温泉水1L中に1g以上を満たすとなっていますが、山香温泉センターは、1Lあたり32.942gなので約33倍です。
また、泉質を表記するために必要な陽イオン(プラスの電気を帯びているイオン)・陰イオン(マイナスの電気を帯びているもの)に含まれる成分は20ミリバル%以上なのですが、山香温泉センターの温泉の成分を分析すると、陽イオン中に含まれる塩化物イオンが86.92ミリバル%、陰イオン中に含まれるナトリウムイオンが81.24ミリバル%!
どちらも必要条件の4倍以上。
てな訳で、大分県で一番濃い塩化物泉は、これでもかという濃厚さですからよく温まり、湯冷めしにくい素晴らしい泉質です。
その濃さゆえに湯あたりには充分注意してください。
(注)
ミリバル=イオンの電気量を表わす単位
ミリバル%=陽イオン、陰イオンそれぞれの合計に対する比率を表わしたもので、ミリバル%が最大のものがその温泉の主成分
取材(執筆・撮影)/板倉あつし
取材協力/公益社団法人ツーリズムおおいた
杵築市山香温泉センター | |
名称 | 杵築市山香温泉センター /きつきしやまがおんせんせんたー |
所在地 | 大分県杵築市山香町野原2028 |
関連HP | 杵築市公式ホームページ |
電車・バスで | JR中山香駅から徒歩15分 |
ドライブで | 大分空港道路杵築ICから約13km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 杵築市山香温泉センター TEL:0977-75-0351 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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