鉄イオンの含有量日本一を誇る薬湯、塚原温泉火口乃泉

塚原温泉火口乃泉

平安時代から湧き続けるという塚原温泉火口乃泉(つかはらおんせんかこうのいずみ)は別府駅からクルマで約30分、別府市との市境、由布市の伽藍岳(がらんだけ)中腹にあります。源為朝(みなもとのためとも)が山で狩りをしているときに、湯に浸かって傷を癒やす鹿を見て、発見されたと伝えられています。

強烈な酸性泉は、天然の消毒液に浸かっている感覚

塚原温泉火口乃泉
湯口から出る源泉は無色澄明ですが時間とともにうっすらと緑色になります
塚原温泉火口乃泉
加水加温循環ろ過消毒とは無縁の源泉掛け流し
塚原温泉火口乃泉
ゆふいん塚原温泉火口乃泉の温泉分析書

温泉分析データは、源泉名・塚原温泉地獄谷と元湯。
源泉温度56度、pH1.9、無色澄明(ちょうめい=澄んでいて明るい)、中酸味中収斂味(しゅうれん=口の中がギュッと締め付けられる、渋いときなどに感じる味)、中金気味(かなけ=鉄分などの味)、ほとんどど無臭。

その泉質は酸性・含鉄(Ⅱ.Ⅲ)-アルミニウム-硫酸塩温泉(低張性酸性高温泉)。
加水、加温、循環ろ過、消毒などとは一切無縁の完璧な源泉かけ流しで、濃く強い成分のため石鹸やシャンプーは使えません!というか、使っても歯が立たないのです。

鉄イオンの含有量日本1位(1kg中の鉄Ⅱイオンが47.5mg、鉄Ⅲイオン62.3mg=温泉法基準値の40倍以上)。
酸性度は玉川温泉(pH1.2)に次いで日本2位(pH1.9)、アルミニウムイオンの多さは恵山温泉(1kg中に325.7mg)に次いで日本2位(1kg中に173.0mg=療養泉基準の3倍以上)という、驚きの温泉です。

含鉄泉はその名のとおり鉄分を多く含んでいるため、造血作用があり貧血・更年期障害などに効果が高く「婦人の湯」とも呼ばれています。
また、含アルミニウム泉は慢性的な皮膚疾患のほか、眼病にも効くといわれています。

1.9というpH値は、レモンが2.5、胃液が1.2ですから強烈な酸性で、湯の肌触りはピリピリと刺激的!
ピーリング(皮を剥くという意味)効果抜群で、新陳代謝も促すため皮膚病にもいいのですが、肌の弱い人には効きすぎる場合もあるので、入浴後は中性の湯で洗い流すのがおすすめです。

塚原温泉火口乃泉
こちらは野趣満点の塚原温泉露天風呂(撮影:石井靖史)
塚原温泉火口乃泉
受付から徒歩5分で噴気立ちのぼる火口見学もできるのです(撮影:石井靖史)

取材(執筆・撮影)/板倉あつし
取材協力/公益社団法人ツーリズムおおいた

塚原温泉火口乃泉
名称 塚原温泉火口乃泉/つかはらおんせんかこうのいずみ
所在地 大分県由布市湯布院町塚原1235
関連HP 塚原温泉火口乃泉公式ホームページ
電車・バスで JR由布院駅からタクシーで15分
ドライブで 宇佐別府道路速水ICから約10km、大分自動車道由布岳スマートICから約3km
駐車場 60台/無料
問い合わせ 塚原温泉火口乃泉 TEL:0977-85-4101
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
塚原温泉火口乃泉

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ABOUTこの記事をかいた人。

板倉あつし

日本旅のペンクラブ理事、ラジオ・テレビレジャー記者会会員。過去には『夕刊フジ』に毎週、温泉と食を連載。旅、食と温泉、音楽、車などの乗り物、自然と環境などに精通。年間の取材日数は150日。足繁く取材して、鮮度のいい情報を発信、様々な角度から素材を掘り起こします。 また独自のネットワークを活用してコラボレーションを図ります。テレビ『いきなり黄金伝説』にも多数出演。 (日本温泉地学学会会員・温泉ソムリエマスター・温泉観光士)

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