玉藻公園は、玉藻城とも呼ばれる高松城の城跡。高松城は1588(天正16)年、豊臣秀吉の重臣・生駒親正(いこまちかまさ)の築城以来、生駒4代、松平11代にわたって歴代高松藩主の居城となった城。現存する遺構は、1642(寛永19)年、水戸藩初代藩主・徳川頼房の子、松平頼重が12万石で入封して後の藩政時代のもの。日本の歴史公園100選にも選定。
「日本三大水城」に数えらる名城
瀬戸内海の海水を堀に引き込み、今治城(愛媛県今治市)、中津城(大分県中津市)と並んで「日本三大水城」に数えらる名城です。
香川県では丸亀城と並び日本100名城、日本の歴史公園100選にも選定。
本丸を中心に二の丸、三の丸、北の丸、東の丸、桜の馬場、西の丸が時計回りに配置される巨大な城。
北側は瀬戸内海に面し、残り3方向は内堀、中堀、外堀の3重の堀が巡らされて、難攻不落を誇っていました。
現在、高松城跡として国の史跡に指定されるエリアは、往時の城郭の8分の1ほどの規模です。
JR高松駅側からアプローチすると、いきなり二の丸で、内堀に架かる鞘橋(さやばし)を渡ると本丸(天守閣跡)となります。
本丸、二の丸、三の丸一帯が玉藻公園として整備
別名となっている玉藻城という風雅な名前は、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)が『万葉集』で、讃岐国の枕詞に「玉藻よし」と詠んだことに因み、高松城周辺の海域が玉藻の浦と呼ばれていたことに由来しています。
北の丸には重要文化財の月見櫓(つきみやぐら)、水手御門、渡櫓や艮櫓(うしとらやぐら)が現存。
玉藻公園となった城跡は、高松城跡として国の史跡に指定されています。
城からも船で海に出ることができるのでまさに水軍が活躍できる縄張り。
本丸には、1669(寛文9)年、松平頼重の時代に小倉城を模した3層5階の天守が完成しています。
最上層は小倉城と同様に唐造だったことがわかっています。
天守は明治17年に老朽化により解体され、現存していませんが天守台の石垣は往時のままに復元されています。
北側の海を堀代わり利用した難攻不落の水城
瀬戸内の海水を堀に引き込み、海とつながっているので、内堀には水位調節のため水門が設けられ、船で水手御門を経て、城内に入れるような仕組みにもなっています。
というわけで、堀には黒鯛やボラ、チヌなどの海の魚が棲息。
瀬戸内の船頭歌に「讃州さぬきの高松さまの城が見えます波の上」と唄われるように、海上から天守が美しくそびえたっているのが望見できました。
三の丸には大正6年に松平家高松別邸として完成した披雲閣がありますが、藩政時代には現在の2倍の規模の書院風建物が建っていました。
三の丸入口にあった桜御門は、昭和20年の高松空襲で焼失。
月見櫓、艮櫓は国の重要文化財
北の丸、東の丸は1671(寛文11)年、松平氏による大改修で増築された部分で、1676(延宝4)年に隅櫓(すみやぐら)として月見櫓が建築され、その後、海上からの出入りを監視する水手御門、渡櫓、鹿櫓が建てられました。
鹿櫓以外は現存し、国の重要文化財。
月見櫓も、お月見に使われる櫓ではなく、城主の船が着くのを見る「着き見」が由来の名前です。
城主はこの門から小舟に乗船し、沖で待つ本船に乗り込んだのです。
東の丸には米蔵や艮櫓、巽櫓などがありました。
艮櫓は現在、桜の馬場の太鼓櫓跡に移築されて現存。
その他は、公園化され香川県県民ホール(レクザムホール)や香川県立ミュージアムが建っています。
桜の馬場にも往時には虎櫓、鳥櫓、太鼓櫓などが建っていましたが、半分が中央通りの敷地となり大きく改変。
国の重要文化財に指定される艮櫓は昭和40年に東の丸から太鼓櫓跡に移築したもの。
玉藻公園駐車場に車を入れた場合には、旭橋を渡り、旭門で桜の馬場に入るのが登城ルートになっています。
高松港そばの港公園に建つ報時鐘は、1653(承応2)年、松平賴重が大坂で鋳造させたもの。
昭和3年まで時を告げていたものを昭和55年に港公園に再建。
『讃岐国名勝図会』に描かれた高松城
幕末の1854(嘉永7)年に刊行された『讃岐国名勝図会』。
高松城は、海上から眺めた絵が描かれています。
玉藻公園(高松城) | |
名称 | 玉藻公園(高松城)/たまもこうえん(たかまつじょう) Tamamo Park – The Ruins of Takamatsu Castle |
所在地 | 香川県高松市玉藻町2-1 |
関連HP | 玉藻公園公式ホームページ |
電車・バスで | JR高松駅から徒歩3分 |
ドライブで | 高松自動車道高松中央ICから約6km |
駐車場 | 玉藻公園駐車場(57台/無料) |
問い合わせ | 玉藻公園管理事務所 TEL:087-851-1521/FAX:087-823-6390 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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