高知県香美市土佐山田町にあるJR土讃線(どさんせん)の駅が新改駅(しんがいえき)。土讃線が四国山地を越え、高知平野へと下る、その標高差をスイチバックで克服するスイッチバック駅。新改駅の標高は274m、7.4km離れた土佐山田駅は標高44mで、なんと1駅で230mもの標高差がある区間となっているのです。
特急はスイッチバックせずに本線を通過
昭和5年6月21日、土佐山田駅〜 角茂谷駅間の開業時に新改信号場(しんかいしんごうじょう)として開設され、昭和22年6月1日に新改駅(しんかいえき)として旅客営業が始まりました(昭和31年に「しんがい」に読みを変更)。
蒸気機関車の山越えの際、石炭を常にくべ続けなければ山を越えるができないため、乗務員の一酸化炭素中毒という危険もうまれるため、新改信号場が築かれたのです。
傾斜地に平坦なホームを築くためにスイッチバックにする必要が生まれました。
駅に入るためのスイッチバックなので、特急は本線を軽やかに通過(スイッチバックは利用しません)。
多度津側、ひとつ先の繁藤駅(しげとうえき)は、JR四国最高所の駅で標高は347m。
分水嶺となる穂岐山トンネルを抜け、小さな下りトンネルの連続(12ヶ所)で標高を下げ、いったんスイッチバックの引上線に入り、そこで進行方向を変え本線を横切って1面1線の新改駅ホームへと侵入する仕組み。
発車時は再び進行方向を変え、本線に入り、土佐山田駅を目指します。
土佐清水駅へは25‰(パーミル=1000mあたりの標高差)という急な下りが続きます。
土佐山田駅側からの上り列車は、上り勾配の本線からホームに入り、進行方向を変えて出発後、本線を横切って引上線に入り(スイッチバック)、さらに向きを変えて繁藤駅を目指します。
駅周辺に集落はないので、秘境駅の部類に入り、最寄りの平山バス停のある平山集落へも徒歩20分ほどの距離があります。
新改駅から徒歩40分の大法寺観音堂には、武田勝頼(たけだかつより)の墓と伝承される墓石があります。
天目山(現・山梨県甲州市大和町)で自刃したと伝えられる武田勝頼は、実は土佐に落ち延びたという伝承があり、一帯には武田姓が多いのだとか。
JR土讃線にはもう一ヶ所、坪尻駅(徳島県三好市池田町)もスイッチバック駅になっています。
新改駅(スイッチバック駅) | |
名称 | 新改駅(スイッチバック駅)/しんがいえき(すいっちばっくえき) |
所在地 | 高知県香美市土佐山田町東川 |
ドライブで | 高知自動車道南国ICから約10km |
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