音無の滝

音無の滝

京都府京都市左京区大原勝林院町、京都・大原の三千院、来迎院の北側を流れる清流、律川(りつせん)の上流に懸かる滝が、音無の滝。京都の秘瀑のひとつで、僧侶の声明(しょうみょう)が修行当初は滝の音に消されて聞こえませんでしたが、修行を重ねるに連れ、滝の轟音は消え、声明のみが朗々と響くことが名の由来といいます。

天台僧たちが修行に勤しんだ伝説の滝

音無の滝

平安時代の末期、比叡山で修行を積んだ良忍(りょうにん)は、22歳〜23歳の若さで大原に隠棲し、念仏三昧の日々を送り、天仁2年(1109年)、来迎院(山号の魚山は、中国の声明の聖地・魚山に由来)を創建、さらに7つに分裂していた天台声明の統一をはかり、大原声明(魚山声明)を完成させています。
大原声明は、弟子である家寛(けかん=後白河法皇の声明の師)、『声明用心集』、『声明目録』を著した湛智(たんち)に伝承され、大原は、経典に旋律を付けた仏教音楽である天台声明の聖地となったのです。

良忍たちが大原声明を完成させるため、修行を行なったとされるのが音無の滝。
最初は滝の音に打ち消される声明も、修行を積むと滝音との見事なハーモニーとなり、最後には滝音が打ち消されるようになるのだとか。

律川(りつせん)は、大原を流れる呂川(りょせん)とともに声明の律曲、呂曲に因んで名付けられたもので、調子を合わせることの呂律(りょりつ)が、転じて呂律(ろれつ)=ことばの調子という語源にもなっています。

三千院、来迎院の脇を通り、音無しの滝へと向かう道は、「響の道」とも称され、散策に絶好です。
勝林院は、大原声明(魚山声明)の根本道場、宝泉院はその僧坊です。

音無の滝
音無の滝
名称 音無の滝/おとなしのたき
所在地 京都府京都市左京区大原勝林院町
関連HP 大原観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR京都駅から京都バス大原行きで57分、終点下車、徒歩2分。または地下鉄烏丸線国際会館前駅から京都バスで22分、大原下車、徒歩25分
ドライブで 名神高速道路京都南ICから約22km
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
三千院

三千院

京都市の妙法院、青蓮院と並ぶ天台宗三門跡(門跡=皇族や、貴族の子弟が法統を伝えている寺)のひとつが大原の里にある三千院(三千院門跡)。最澄(さいちょう)が比叡山東塔に円融房と称した堂を建立したしたのが起こり。明治4年に現在地に移っています。

『女ひとり』歌碑

『女ひとり』歌碑

京都府京都市左京区大原来迎院町、大原の里に立つのが、『女ひとり』歌碑。永六輔作詞、いずみたく作曲で、デューク・エイセスが歌った『女ひとり』(昭和40年8月発売)は、『いい湯だな』、『筑波山麓合唱団』などとともに「にほんのうた」シリーズの一曲

 

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