京都府相楽郡和束町(わづかちょう)、標高682mの鷲峰山(じゅぶざん)を背にした茶畑が、原山の茶畑。和束町の茶畑は、おもに明治時代以降に宇治茶の生産で丘陵が茶畑となったものですが、この原山地区はユニークな円形茶畑で有名。石寺の茶畑とともに和束町の人気茶畑のひとつです。
鎌倉時代に始まった茶栽培が生んだ、美しい円形の茶畑
鎌倉時代に、この地に初めて茶の種子をもたらした海住山寺(かいじゅうせんじ/現・木津川市)・慈心(じしん=覚真)により、和束の中でもっとも早くから茶栽培が始まったと伝えられています。
出家前は後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)の寵臣だった藤原長房(ふじわらのながふさ)で、正三位・民部卿まで出世していますが、41歳で仏門に入り、貞応元年(1222年)に瓶原大井手用水(みかのはらおおいでようすい)の開削なども行なっています。
慈心上人は、栂尾・高山寺の明恵(みょうえ=後鳥羽上皇から栂尾を下賜され、高山寺を開山)から茶の種と栽培法を譲り受け、和束に茶畑を拓いたとされています。
明恵は、栄西のもとで禅を学んでいますが、その時に、茶の効用や栽培法を教えられていたのです。
栂尾は茶の栽培に適した土地だったため、茶の産地として発展しますが、川霧が立ち涼しい気候の宇治も茶の栽培に適していると判断し、宇治に伝えたといわれています。
原山の茶畑は、石寺の茶畑、海住山寺とともに日本遺産「日本茶800年の歴史散歩〜京都・山城〜」の構成資産になっています。
こうした歴史に支えられ、今では高級煎茶の産地として知られるようになったのです。
和束では農家の裏山の傾斜地を開墾し、等高線状に茶畝を作る露地栽培が行なわれて、独特の「山なり茶園の景観」を生み出しています。
原山地区では、山の斜面に効率的にお茶を植えた結果として、特異なすり鉢状の円形茶畑が誕生したのです。
美しい横畝模様の茶畑景観は、原山の茶畑のほか、最も有名な石寺の茶畑、さらに撰原の茶畑(えりはらのちゃばたけ)などで見ることができます。
原山地区については、町内でも特に狭隘の道が多く、茶生産最盛期には農作業車が多く行き交います。
4月〜7月、9月〜11月は宇治茶の収穫時期なので、なるべく公共交通機関を利用して見学を。
茶畑は私有地のため、畑の中には無断で立ち入ることはできません。
公道からの見学を(農業者の撮影も厳禁です)。
和束茶カフェの駐車場に車を入れ、徒歩またはレンタサイクルの利用も可能です。
原山バス停からから徒歩30分ほどですが、茶畑を眺めながらの人気の散策ルートになっています。
和束町の茶畑は、「宇治茶の郷 和束の茶畑」として京都府景観資産登録の第1号にも選定。
原山の茶畑(円形茶畑) | |
名称 | 原山の茶畑(円形茶畑)/はらやまのちゃばたけ(えんけいちゃばたけ) |
所在地 | 京都府相楽郡和束町原山上手 |
関連HP | 和束町活性化センター公式ホームページ |
電車・バスで | JR加茂駅から奈良交通バス和束町原山行きで25分、和束町原山下車、徒歩30分 |
ドライブで | 名神高速道路京都南ICから約31kmで和束茶カフェ駐車場 |
駐車場 | 和束茶カフェ駐車場を利用 |
問い合わせ | 和束町観光案内所 TEL:0774-78-0300 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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