三重県桑名市の長良川の河口部分に造られた長良川河口堰は、塩水の遡上を防止するために設けられた堰。長良川は岐阜県郡上市の大日ヶ岳(標高1709.0m)を源に、濃尾平野を潤す幹線流路延長166kmの一級河川で、長良川河口堰は河口から5.4km上流に設置された総延長661mの可動堰(可動部555m)です。
ダムのなかった一級河川長良川に設けられた唯一の堰
1号から10号まである2段式の調整ゲートを上下させることで川の水位を調節し、洪水の防止などに役立てているのだとか。魚の通り道としては魚道が、船の通り道として閘門が設けられ、アユなどはこの魚道を通って遡上する仕組み。
長良川河口堰のメリットとしては川の浚渫による塩害を防止し、ひいては洪水防水の効果があると説明されています。
堰の上流が淡水化され、愛知県、三重県で、水道用水、工業用水を安定的な確保が可能となりました。
通常はゲートを降ろし塩水の遡りを防止し、洪水のときにはゲートを上げて増水した水を放出する仕組み。
東岸・長島町側には魚道観察室が設けられ無料で観察窓から呼び水式魚道を遡上する魚の様子を観察できるほか、河口堰の上を歩くことも可能。
例年3月〜6月に数十万匹の稚アユが遡上しています。
まずは河口堰の上からとうとうと流れる長良川を眺めてみるのがいいでしょう。
河口堰の西岸にある閘門は船が通るスペース。
長さ70m、幅13m、高さ4.3m、喫水3.5mの船までが通行可能とのこと。
防災資料館「アクアプラザながら」も併設されているので、時間があれば寄り道を。
長良川河口堰の是非については今も意見が分かれています
ちなみに長良川のすぐ横(西側)を流れるのが揖斐川(いびがわ)で、木曽川、長良川、揖斐川が木曽三川(きそさんせん)。
江戸時代までは洪水のたびに木曽三川の河口部分は分流、合流を繰り返し、輪中と呼ばれる中洲の集落は洪水に悩まされていました。
明治20年〜明治45年、オランダ人技師ヨハニス・デ・レーケ(Johannis de Rijke)が作成した計画に基づいて木曽三川分流工事が行なわれ、木曽川と長良川の間の船の往来を確保するために船頭平閘門が建設されています。
長良川の河口堰の建設には1500億がかかり、さらに毎年10億円もの維持費が必要となっています。
河口堰で毎秒最大22.5立方メートルの水資源が生まれていますが、実際に使われているのは5分の1以下。
というわけで、河口堰が必要だったかどうかは、意見が分かれるところです。
岐阜市は天然アユを「準絶滅危惧」に選定するなど、アユの生態への影響も、意見が分かれています。
長良川河口堰 | |
名称 | 長良川河口堰/ながらがわかこうぜき |
所在地 | 三重県桑名市長島町十日外面136 |
関連HP | 長良川河口堰管理所公式ホームページ |
電車・バスで | JR・近鉄長島駅か徒歩20分 |
ドライブで | 東名阪自動車道長島ICから約6.3km |
駐車場 | アクアプラザながら駐車場(40台/無料) |
問い合わせ | 長良川河口堰管理所 TEL:0594-42-5012 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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