春日山原始林

奈良市街の背後にそびえる春日山(標高294m)は、古くは御蓋山(みかさやま)とも呼ばれ、山頂には春日大社第一の祭神・武甕槌命(たけみかづちのみこと)が768(神護景雲2)年に白鹿に乗り天降ったとされている神跡があり、本宮神社が鎮座しています。春日大社の真東に位置し、大社の神山として、世界遺産「古都奈良の文化財」に登録。

春日大社の聖域として保護されてきた原始林

春日山原始林は、総面積250ha。
841(承和8)年の禁伐令以来、伐採はもちろん狩猟すら禁じられた霊域となったため太古から大自然(原始林)が守られています(ただし、16世紀には豊臣秀吉の命で1万本のスギが植栽されています)。

1000年以上もの間、ほとんど人の手が加えられていない名実ともに原生林は、春日山の3分の2(300ha)を占め、国の特別天然記念物に指定されています。

常緑広葉樹(カシ、シイ類)のコジイ、イチイガシ、アカガシなど暖帯林を代表に、暖地性の蔓性植物(フジ・カギカズラ)、さらにはモミ、スギ、ヤマザクラなど175種類の樹木と598種類の草花が生育する原始の森は、今も山麓の本宮神社遙拝所から先は入山禁止。

昼でも暗い山内には、モリアオガエル、ヒメハルゼミ、カスミサンショウウオなど珍しい動物が棲息しています。

平成14年に行なわれた巨樹・巨木調査では、春日山原始林内には巨木1425本が確認され「日本一の巨木の森」であることが判明。

歩くことができるのは、「春日山遊歩道」で、遊歩道入口(北)から春日奥山道路を歩いて遊歩道入口(南)まで全長は9.4km。

さらに春日山の北麓を柳生へと通じる旧柳生街道・滝坂の道を歩く手もあり、こちらがもっともポピュラーな手段。
滝坂の道周辺の森は、「春日山自然観察教育林」に指定されファミリーでも手軽に散策が可能です。

春日山遊歩道コースタイム

遊歩道入口(北)→(2.3km)→鎌研交番所→(0.3km)→若草山山頂(標高342m)→(2.2km)→大原橋(標高290m)→(0.7km)→鶯の滝→(1.9km)→芳山交番所・春日山石窟仏分岐(標高400m)→(0.5km)→首切地蔵・滝坂の道→(1.7km)→妙見宮(標高240m)→(1.8km)→春日山遊歩道入口(南)

春日山原始林
名称春日山原始林/かずがやまげんせいりん
Kasugayama Genshirin(Kasugayama Primeval Forest)
所在地奈良県奈良市誓多林町
関連HP奈良県ビジターズビューロー公式ホームページ
電車・バスでJR奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通バス春日大社本殿行きで終点下車、徒歩5分で春日山遊歩道入口(北)
ドライブで名阪国道天理ICから約16km
駐車場若草山山頂駐車場(45台/無料)
問い合わせ奈良公園事務所 TEL:0742-22-0375/FAX:0742-24-1706
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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