黒塚古墳

黒塚古墳

奈良県天理市柳本町にある墳丘長130mの前方後円墳が、黒塚古墳。大和古墳群柳本古墳群)ですが、に属する古墳で、築造されたのは、3世紀後半〜4世紀初め(古墳出現期)。奈良県立橿原考古学研究所が行なった第3次発掘調査(平成9年〜平成10年)で三角縁神獣鏡33面が発見されています。国の史跡。

三角縁神獣鏡の多量出土で脚光を浴びた古墳

墳丘長130m、後円部径72m、高さ11m、前方部長48m、高さ6mで、後円部3段、前方部2段になった前方後円墳。
周濠が巡らされていますが、葺石や埴輪は確認されていません。
後円部の埋葬施設はほぼ真北を向いた全長8.2mの竪穴式石室です。

古墳時代前期前半の前方後円墳で、箸墓古墳、中山大塚古墳と同様に出現期の古墳である可能性が大で、初期ヤマト政権の成立過程を知るうえで重要な手掛かりとなる古墳のひとつです。

室町時代後期に楊本氏(やなぎもとし)が黒塚古墳を利用して砦を築き、周囲に巡らされた周濠が活用され、天正3年(1575年)には、三好長慶の重臣だった松永久秀(まつながひさひで=松永弾正)が、反信長勢力に呼応した時代を背景に、柳本城を築いています。
江戸時代、柳本藩が立藩すると柳本城跡に藩庁である柳本陣屋を構築し(現・柳本小学校の敷地)、黒塚古墳と周濠などはその一部になっています。

発掘調査で、後円部墳頂に本丸跡の遺構などが見つかっており、中世に城郭として活用されていたことが明らかに。

黒塚古墳に隣接して竪穴式石室の実物大模型などを展示する「天理市立黒塚古墳展示館」が設置され、竪穴式石室を実物大で再現するほか、三角縁神獣鏡25種・33面、画文帯神獣鏡1面、鉄製刀剣類のレプリカを展示。
墳墓一帯は柳本公園として整備され、墳丘の後円部に上ることも可能。

黒塚古墳からの出土品は、「奈良県黒塚古墳出土品」(奈良県立橿原考古学研究所所蔵)として重要文化財に指定。
石室は中世に起きた大地震で崩壊し、その後、中世に城郭、近世に陣屋として活用されたことから盗掘を免れ、三角縁神獣鏡などが残されたのです。
一度に見つかった三角縁神獣鏡の数としては32面が出土した椿井大塚山古墳(つばいおおつかやまこふん/京都府木津川市)を上回って全国最多で、しかも大部分の遺物は埋葬当時の位置を保って出土しています(被葬者の棺内に1面だけ画文帯神獣鏡が置かれていました)。

三角縁神獣鏡は、古代中国の魏が邪馬台国の女王・卑弥呼(ひみこ)に贈った「銅鏡百枚」とする説があり、京都市の泉屋博古館(せんおくはっこかん)の蛍光(けいこう)X線分析でも鏡に含まれる銀などの微量元素の割合が、古代中国鏡(前漢後期~三国時代の中国鏡)とほぼ一致することが判明し、中国から輸入された舶載鏡(はくさいきょう)説を裏付けています。

卑弥呼の墓ともいわれる箸墓古墳は、2kmほど南に位置し、三角縁神獣鏡33面の出土は、邪馬台国畿内説の後押しにもなっています。

黒塚古墳
名称 黒塚古墳/くろつかこふん
所在地 奈良県天理市柳本町
関連HP 天理市公式ホームページ
電車・バスで JR柳本駅から徒歩約7分
ドライブで 西名阪自動車道天理ICから約7km
駐車場 黒塚古墳展示館駐車場(無料)
問い合わせ 黒塚古墳展示館 TEL:0743-67-3210
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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