島数の多い”瀬戸内しまなみ海道”のなかで周囲4kmの小島に700羽以上の野生のウサギが棲むと聞き、そのメルヘンチックな「大久野島」を訪ねて見た。山陽新幹線・三原駅下車、JR呉線で竹原駅から平安期の往時以来、海運の開けたという忠海(ただのうみ)港へ。
フェリーで沖合3kmの島影を目指すこと12分。
桟橋を渡った先に若い女性たちがあちこちで屈みこんで動かない。
近づいてみると足元につぶらな瞳のウサギが2羽、3羽。
この癒しの情景が口コミで広がり全国各地から観光客がやってくるという。
実はこの小島、明治期の日露戦争当時に陸軍の要塞として砲台が築かれ、第一次世界大戦から太平洋戦争にかけて化学兵器(毒ガス)を製造し貯蔵する軍事基地となり地図から消された島だった。
「戦後の昭和46年、島の小学校が廃校となり飼育されていた8羽のウサギが野生化し繁殖したという説があり。過去の暗い歴史に替って平和の象徴となっています」
とは竹原市観光課の説明だった。
島には唯一のリゾート宿舎「休暇村」がある。
レンタサイクルで島内散策を楽しんだり、海辺のキャンプをする人、夕日を眺めながらウサギと交流?する旅人も多いとか。
日に何度かの「えさやりタイム」ではキャベツやニンジンに群がるウサギの姿がベストショットにもなっている。
ウサギと接触する注意書きに「強く抱きしめないで。足の骨が折れたらウサギは暮らしていけません」。
島の帰りには竹原市内の江戸期の佇まい見物をお勧めしたい。
広島県竹原市の旧市街には製塩業で栄えた350年前の江戸期の商家が軒を連ねる。
そのなかにNHK朝ドラ「マッサン」の主人公、日本のウイスキーの父、竹鶴政孝の生家があり、最近、竹鶴夫妻の銅像が建てられた。
竹原から足を延ばし文学の町「尾道」や軍港の町「呉」など巡るのもお勧めだ。
掲載の記事は、ジャーナリスト・中森康友氏(日本旅行作家協会会員)の配信するメルマガ『なかもりトピックス』を転載したものです。
大久野島 | |
名称 | 大久野島/おおくのしま |
所在地 | 広島県竹原市忠海町大久野島 |
関連HP | 竹原市観光協会公式ホームページ |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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