倉敷民藝館

倉敷民藝館

大原總一郎の尽力で生まれた岡山県民藝協会が昭和23年に、岡山県倉敷市の倉敷美観地区に開館した民藝品の展示館が倉敷民藝館。旧庄屋植田家の江戸時代後期築という米蔵3棟を再生して、1万5000点ほど収蔵する民藝を、1年に3回の展示替えで毎回800点ほどを展示しています。

日常使いの民藝品から「用の美」を知る

倉敷民藝館

民藝とは「民衆的工芸」という意味で、大正末期、柳宗悦らによって創られた言葉、そして運動です。
つまり、鑑賞を主目的とする美術工芸品に対して、人々の暮らしの中、日常的に使われる丈夫で美しい品々が民藝品というわけです。

初代館長・外村吉之介氏は、民衆的で、実用的、数多く作られ、安価を旨とし、健康で、簡素、しかも協力的(工人達の協力から生まれ、公の美を示す)で、その上で、伝統による裏付けがあるもの(伝統によって永い先人の知恵の恵みをうけるもの)と、具体的に定義しています。

1号館、2号館、3号館からなる倉敷民藝館の館内では、国内外を問わず集めた陶磁器、漆器、木工品、金工品、石工品、和紙、竹細工、織物、ガラス器、籐工芸、染め物など衣食住に関する民藝品は、趣味的なものではなく、民藝品本来の意味である民衆の生活のなかで使われた工芸品。

柳宗悦らが推進した民藝運動は、美術工芸品を収集して眺めるという物質的な豊かさを求めるのではなく、「より良い生活とは何か」を追求するもの。
そんな、民藝の大前提を理解した上で、入館すれば、目を見張るばかりの機能的な美しさを感じ取ることができるでしょう。

売店で売られるグッズも当然、倉敷てまり、倉敷堤窯、花むしろなど民藝品主体ということに。

倉敷美観地区は、建物が「民藝の美」

大原美術館の創立者としても知られる倉敷出身の実業家・大原孫三郎(おおはらまごさぶろう)は、倉敷周辺に残る工芸品の良さを多くの人に広めようと活動するなかで、民藝運動をすすめる柳宗悦(やなぎむねよし・やなぎそうえつ)に出会い、民藝運動に賛同して支援。
日本初の民藝館である日本民藝館の建設費の多くを寄付しています。

その子・大原總一郎も、戦後間もない時代に、「正しく強く美しい平和日本の生活基調を再建する」ため、岡山県民藝協会を設立。
倉敷にも民藝館をということから染織家で民藝運動家の外村吉之介(とのむらきちのすけ)を初代館長に招いて、倉敷民藝館を開館させているのです。

初代館長の外村吉之介は、倉敷美観地区の景観保存にも尽力。
実は、美観地区全体が、伝統的な「手仕事」による「用の美」、つまり「民藝の美」を象徴する存在になっているのです。

倉敷民藝館
名称 倉敷民藝館/くらしきみんげいかん
所在地 岡山県倉敷市中央1-4-11
関連HP 倉敷民藝館公式ホームページ
電車・バスで JR倉敷駅から徒歩15分
ドライブで 山陽自動車道倉敷ICから約5km。瀬戸中央自動車道早島ICから約4km
駐車場 美観地区南駐車場(177台/有料)、美観地区東駐車場(148台/有料)、倉敷市中央駐車場(175台/有料)などを利用
問い合わせ 倉敷民藝館 TEL:086-422-1637/FAX:086-476-8446
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
日本郷土玩具館

日本郷土玩具館

岡山県倉敷市、白壁の土蔵が軒を連ねる倉敷美観地区に溶け込むようにたたずむ昭和42年に開館した博物館が日本郷土玩具館。江戸時代の米蔵、呉服商の商家を再生したもの。江戸時代から昭和初期に全国各地で作られた郷土玩具4万点を収集、4つの展示室で3万

倉敷考古館

倉敷考古館

岡山県倉敷市にある吉備地方の遺跡を中心に、瀬戸内海一帯から発掘された石器や土器などの出土品を時代順に展示する博物館が倉敷考古館。倉敷考古館は、昭和25年の開館以来、古代吉備を代表する数々の遺跡の発掘調査を手がけ、調査研究を進めてきた施設です

有隣荘

有隣荘

岡山県倉敷市にある実業家・大原孫三郎(おおはらまごさぶろう)が家族で暮らすために建てた大原家の別邸が、有隣荘。大原家はもともと大地主で、明治時代には紡績業でも成功を収め、倉敷の人材育成や町並み整備に貢献しています。病弱な妻のため「家族のため

大橋家住宅

大橋家住宅

岡山県倉敷市、倉敷美観地区にある国の重要文化財に指定される豪商の家が大橋家住宅。新田、塩田の開発で成功を収め大地主となった豪商・大橋家。幕末には村役人も兼ねていた家柄で、当時町人の住居に設けることが許されていなかった長屋門が通りに面して建て

大原美術館

大原美術館

岡山県倉敷市の倉敷美観地区に建つ、日本初の私立西洋近代美術館が大原美術館。大原財閥の大原孫三郎が、画家・児島虎次郎に委託して収集したコレクションが中心(児島虎次郎は、昭和4年、死去)。昭和5年の創立当初からの最も古い建物である本館は、ギリシ

日本民藝館

日本民藝館

東京都目黒区駒場4丁目にある、「民藝」(民芸)という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指す民藝運動の拠点として昭和11年10月24日に開設された施設が、日本民藝館。初代館長には柳宗悦(やなぎむねよし)が就任しています。趣ある本館(旧館

倉敷美観地区(倉敷市倉敷川畔伝統的建造物群保存地区)

倉敷美観地区(倉敷市倉敷川畔伝統的建造物群保存地区)

岡山県倉敷市本町・東町一帯、江戸時代後半以降を中心とする、本瓦葺塗屋造りの町屋と土蔵造りの蔵などを中心とした町並みが、倉敷美観地区(倉敷市倉敷川畔伝統的建造物群保存地区)。備中松山城の玄関港として、備中国内から米や物資が集積して発展した天領

倉敷館

倉敷館

岡山県倉敷市、倉敷美観地区(倉敷市倉敷川畔伝統的建造物群保存地区)を流れる倉敷川の中橋前、倉敷民藝館に隣接して建つのが、倉敷館。大正5年に倉敷町役場として建てられた木造2階建て、下見板貼りの白い洋館(擬洋風建築)で、現在は観光案内所として再

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

ABOUTこの記事をかいた人。

アバター画像

日本全国を駆け巡るプレスマンユニオン編集部。I did it,and you can tooを合い言葉に、皆さんの代表として取材。ユーザー代表の気持ちと、記者目線での取材成果を、記事中にたっぷりと活かしています。取材先でプレスマンユニオン取材班を見かけたら、ぜひ声をかけてください!

よく読まれている記事

こちらもどうぞ