大原美術館

大原美術館

岡山県倉敷市の倉敷美観地区に建つ、日本初の私立西洋近代美術館が大原美術館。大原財閥の大原孫三郎が、画家・児島虎次郎に委託して収集したコレクションが中心(児島虎次郎は、昭和4年、死去)。昭和5年の創立当初からの最も古い建物である本館は、ギリシア神殿風の外観が特徴です。

日本初の西洋美術中心の私立美術館

大原美術館

古代ギリシアの神殿を思わせるような古典様式の本館は、大原孫三郎に招かれ倉敷絹織(現・クラレ)の取締役に就任していた薬師寺主計(やくしじかずえ)の設計。

正面入口にはオーギュスト・ロダンの「洗礼者ヨハネ」、「カレーの市民〈ジャン=デール〉」が出迎えてくれます。
内部には児島虎次郎が収集した最初の西洋絵画であるエドモン=フランソワ・アマン=ジャンの「髪」、そしてエル・グレコの「受胎告知」、モネの「睡蓮」、セザンヌ「水浴」、セザンヌ「風景」、ドガ「赤い衣裳をつけた三人の踊り子」、ルノアール「泉による女」、ゴーギャン 「かぐわしき大地」、ピサロ「りんご採り」、梅原龍三郎「紫禁城」、棟方志功「華狩頌版画柵」など、数々の名画を展示。

本館のほかに近代日本の洋画を展示する分館、棟方志功室などのある工芸館、中国古美術を集めた東洋館があります。
ミュージアムショップでは絵画のレプリカなどを用意。

ジョン・ロックフェラー2世によるニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York)の誕生が昭和4年ということを考えると、倉敷という地方都市に、近代美術館が昭和5年に誕生したということは、まさに特筆に値する、大原孫三郎の大きな功績で、今も色褪せることなく輝いています。

大原美術館

画家・児島虎次郎大原孫三郎

児島虎次郎は、明治14年、岡山県川上郡下原村(現在の高梁市成羽町)に生誕。
東京美術学校西洋画科で学び(児島虎次郎は大原奨学会の奨学生のひとり)、ヨーロッパ留学後に、倉敷北郊の酒津に居を定め、大正8年、大原孫三郎のすすめでヨーロッパに渡りますが、本格的な西洋絵画のコレクションや美術館の建設を大原孫三郎に提案。

大正9年、児島虎次郎のオランダ滞在中に、大原孫三郎は「絵を買ってよし。金送る」との電報を打電し、モネのアトリエを訪ね「睡蓮」を、マティスを訪ねて「マティス嬢の肖像」を購入するなど精力的に収集活動を開始しています。

大正11年には再度渡欧し、パリのベルネーム・ジュヌ画廊でエル・グレコ「受胎告知」購入の仮契約を結ぶなど、再度収集活動を行ない、大正12年には大原美術館の中核をなすような大作を続々と購入しています。
大原美術館・東洋館のコレクションの基礎も4回にわたる児島虎次郎の中国旅行がベースです。

昭和4年3月8日、児島虎次郎は47歳の若さで没していますが、大原孫三郎は児島の死を悼み、彼の業績を永久に記念するとともに、念願だった美術館の建設に乗り出します。
昭和5年11月5日、こうした経緯で完成したのが、大原美術館です(初代の館長は武内潔真)。

大原美術館
名称 大原美術館/おおはらびじゅつかん
所在地 岡山県倉敷市中央1-1-15
関連HP 大原美術館公式ホームページ
電車・バスで JR倉敷駅から徒歩15分
ドライブで 山陽自動車道倉敷ICから約5km。または、瀬戸中央自動車道早島ICから約4km
駐車場 美観地区南駐車場(177台/有料)、美観地区東駐車場(148台/有料)、倉敷市中央駐車場(175台/有料)などを利用
問い合わせ 大原美術館 TEL:086-422-0005/FAX:086-427-3677
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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