安満宮山古墳(青龍三年の丘)

安満宮山古墳(青龍三年の丘)

大阪府高槻市安満御所の町、安満山の中腹、標高125mの狭い尾根上にある、一辺20mほどの長方形墳が、安満宮山古墳(あまみややまこふん)。高槻市立公園墓地内にある古墳で、出土した「青龍三年」(235年)銘が入った青銅鏡から3世紀後半の築造とされ、青龍三年の丘として整備されています。

日本列島出土で、最古の年号の刻まれた銅鏡が副葬品に

「青龍三年」方格規矩四神鏡
「青龍三年」方格規矩四神鏡(西暦235年製造)

かつては安満山古墳群と称される古墳群がありましたが、公園墓地の整備で破壊され、安満宮山古墳が残るのみとなっています。
墳形は東西18m、南北21mと推定される長方形で、埋葬施設は高野槙(こうやまき)製の割竹型木簡(わりたけがたもっかん)で、朱が塗られた土壙墓(どこうぼ)。

平成10年の夏の発掘調査で中国・魏代の「青龍三年」(235年)銘が入った青銅鏡や、三角縁「天・王・日・月・吉」獣文帯四神四獣鏡、「吾作」銘斜縁二神二獣鏡、「吾作」銘三角縁環状乳四神四獣鏡、「陳是作」銘平縁同向式神獣鏡の銅鏡5面を含む貴重な副葬品が出土、いましろ大王の杜(今城塚古墳公園)の「今城塚古代歴史館」に展示されています。
出土した銅鏡は『魏志倭人伝』に記された景初3年(239年)、邪馬台国の女王・卑弥呼が魏から贈られたという「銅鏡百枚」、学術名で方格規矩四神鏡(ほうかくきくしじんきょう)の一部ではないかと推測され、銅鏡5面、鉄製品9点、ガラス小玉1600個は、初期古墳の様相をよく伝える「大阪府安満宮山古墳出土品」として、国の重要文化財に指定されています。

形式は弥生墓ですが、本来の弥生墓からは出土しない魏鏡と推測される後漢代に流行した方格規矩四神鏡を忠実に模倣した三角縁神獣鏡が2面出土していることから、古墳文化時代に移行した頃の古墳とされ、

発掘当時の姿に整備し、「青龍三年の丘」として一般公開。
ガラスシェルター内には土壙墓の精密な複製で埋葬の様子を再現、さらに説明板には古代の技法にならって銅鏡を鋳造し、埋めこんであります。
丘からは、眼下には安満遺跡(安満遺跡公園)という弥生時代初期に始まる大環濠集落遺跡を眺め、晴れた日には生駒山から六甲山、淀川や大阪平野を一望にする大パノラマが広がります。

淀川の右岸、北摂平野を臨む山並みの中腹という位置から、淀川舟運を掌握し、一帯で稲作を行ない、さらには魏の都への使節団の一員だった首長の墓とも推測できますが、その勢力圏、卑弥呼との関係性などは定かでありません。

見学は高槻市立公園墓地の開園時間(9:00〜17:00)のみで、日の出や夜景などを楽しむことはできません。

ちなみに、昭和44年に行なわれた安満宮山古墳群の調査では、40数基の横穴式石室を有する古墳が確認されていますが、5基の古墳について調査が行なわれた後、安満宮山古墳(安満山A1号墳)1基を除き、すべての古墳は公園墓地の造成によって破壊されてしまいました。

三角縁「天・王・日・月・吉」獣文帯四神四獣鏡
三角縁「天・王・日・月・吉」獣文帯四神四獣鏡(250年頃製造)
安満宮山古墳(青龍三年の丘)
名称 安満宮山古墳(青龍三年の丘)/あまみややまこふん(せいりゅうさんねんのおか)
所在地 大阪府高槻市安満御所の町高槻市公園墓地内
関連HP 高槻市公式ホームページ
電車・バスで JR高槻駅から高槻市バス上成合行きで11分、磐手橋下車、徒歩10分
ドライブで 名神高速道路茨木ICから約10km
駐車場 公園墓地駐車場を利用
問い合わせ 高槻市立今城塚古代歴史館 TEL:072-682-0820
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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