原田さんのルーツを探せ!

応神天皇20年(289年)9月、必死の思いで朝鮮半島を脱出し日本を目指す船があった。戦乱のため滅亡を目前にした漢王29代・阿智使主(あちのおみ)と、その子都賀使主(つかのつかいぬし)達が乗る亡命者たちの船は、木の葉のように日本海の荒波に揺られていた・・・。それが原田さんのルーツにつながるのかもしれない。

原田さんのルーツは三国志の劉邦か?

そして、やっとの思いで日本にたどり着いた漢帝国高祖・劉邦(りゅうほう)の末裔であるこの一族から、大蔵氏が、やがて原田氏が生まれるのであった。

大和朝廷に仕えたこの一族は、播磨国明石郡大蔵(現在の兵庫県明石市大蔵海岸あたり)に住んで大蔵姓を名乗り、やがて大蔵朝臣(おおくらあそん=古代の国庫である「大蔵」の管理・出納を務めた一族)を賜る。
のち大宰府(だざいふ=福岡にあった政庁)の官人となるが、天慶3年(940年)、藤原純友(ふじわらのすみとも)が大宰府で反乱(天慶の乱=藤原純友の乱)を起こすと大蔵春実(おおくらのはるざね)が追捕山陽南海両道凶賊使の主典となりそれを鎮圧し、筑前・豊前・肥前・壱岐・対馬の管領職となる。
さらに、筑前国御笠(みかさ)郡原田(現・筑紫野市原田)に城を築き、以後、原田氏と名乗るのであった。

筑紫神社
筑前国御笠郡原田の鎮守、筑紫神社(福岡県筑紫野市原田2550)。まぎれもなく原田さんのルーツのひとつ

平安末期、原田種直(はらだたねなお)は平氏方として活躍。
平重盛の養女を妻とし、事実上の大宰府の長官となり(大宰大監・少監)、九州における平氏の基盤を築く。
だが、平家が壇ノ浦で滅亡すると、原田氏も領地を没収され、原田種直は鎌倉の土牢に幽閉の身となり、放免後は筑前国怡土(いと)庄の地を与えられる。

この原田氏は鎌倉時代の雌伏の後、建長元年(1249年)、原田種継(はらだたねつぐ)、原田種頼(はらだたねより)父子が古代中国式山城の怡土城(いとじょう)の遺構を利用し、高祖山に高祖城(たかすじょう/別名:高祖山城、原田城)を築城。
原田一族はここに再び隆盛を迎え、志麻・怡土・早良三郡を領する戦国大名へと成長していく。

福岡県糸島市高祖に残る高祖城跡の下ノ城の曲輪に残る石垣や、下ノ城と上ノ城を結ぶ土橋、上ノ城に残る大竪濠などが見事。
高祖城跡の高祖神社境内裏手の杉林は、城主原田氏の居館跡と伝わっている。
近くの金龍寺は原田氏の菩提所である。

怡土城
古代の中国式山城・怡土城の城跡(福岡県糸島市)

また、山城国真木島城(京都府宇治市槇島町大幡)を居城とした原田氏のことも忘れてはならない。
天正3年(1575年)の長篠の戦いにおいて織田氏の家臣・塙直政(ばんなおまさ)は軍奉行の一人として活躍、同年、織田信長から原田の名を与えられたという。
だが、石山合戦において討死する。

他に全国には、肥後国球磨郡原田を発祥とする菊池氏族の原田氏や、美作国久米郡原田を発祥とする桓武平氏の原田氏、安芸国豊田郡原田を発祥とする芸備の原田氏、上総国の秀郷流原田氏、鹿島の鹿島神社社家、阿波国清和源氏流原田氏、指宿氏族平姓原田氏などがあり、遠江国藤原姓工藤氏流原田氏は旗本として徳川家に仕えた。
菅原道真の末裔が原田氏を名乗ったともいうが果してどうか?

城や神社としては、豊中市曽根西町に南城と北城を持つ摂津原田城跡があり、城跡のある豊中市の中桜塚には、本殿が国指定の重要文化財である原田神社がある。

さらに、山形県東置賜郡川西町の原田城(藤ヶ森城)跡は、伊達藩家老の原田氏の平山城で、樅の古木が聳えている。
──伊達氏が置賜郡を領した頃、重臣だった原田氏の居城であったこの原田城は、現在でも本丸などの郭の平地や土塁、空掘などが散見できる。

また、阿波国原田城には守護小笠原氏に仕えた原田氏がいた。

──原田姓は九州、中国など西日本に多い名前。
山口で大姓5位、岡山(大姓13位)、広島、徳島、福岡(17位)、宮崎、鹿児島などに多い。
知り合いに原田さんがいたとすれば、まず、西日本出身なのである。

家紋は、八重桔梗、抱き茗荷、三つ引両、九つ日足、丸に万字、軍配団扇、三つ巴、下り藤、鷹の羽、剣片喰(けんかたばみ)、七曜、梅鉢、揚羽蝶、丸に梶葉など。

協力/札場靖人(家紋と姓名研究家)

 

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