ナウマンゾウで知られるナウマン博士が明治11年、東京帝大地質学教室の初代教授となって初めて巡検に訪れた場所が長瀞。1億4000万年前の海底にあった土が結晶片岩に変化し、巨大な岩畳や甌穴(ポットホール)を生みだしました。岩畳を流れる荒川では川下りが楽しめるほか、渓谷沿いの遊歩道を歩けば、地質学の初歩を学ぶことが可能。
地質学発祥の地は岩畳が美しい渓谷
長瀞の岩畳は、幅80m、長さ500mにも及び日本有数の規模で、国の名勝・天然記念物、そして「日本の地質百選」に選定。
三波川変成帯(さんばがわへんせいたい)と呼ばれる変成岩帯(中央構造線の外帯に接する変成岩帯)が地表に露出したもの。
一帯は埼玉県立長瀞玉淀自然公園の一部となっています。
岩畳(特別天然記念物)や甌穴(おうけつ=ポットホール)を観察しながら歩くこともできますが、「長瀞ラインくだり」を利用し、舟の上から眺めることも可能です。
「長瀞ラインくだり」は、上流の親鼻橋から岩畳(Aコース/3km)と、岩畳から高砂橋(Bコース/3km)と全長6kmを2区間に分けて運航しています。
岩畳、虎岩、秩父赤壁などは「ジオパーク秩父」のジオスポットになっています。
上流側の上長瀞駅近くにはパレオパラドキシア、カルカロドン メガロドンなどが展示される「埼玉県立自然の博物館」があって長瀞探勝のビジターセンター的な役割を担っています。
埼玉県立自然の博物館前には「日本地質学発祥の地」の石碑が立っています。
また長瀞は春の桜、秋の紅葉も見事。
長瀞一帯には美しい桜並木が各所にあって「日本さくら100選」にも選定されています。
長瀞の名物は、天然氷のかき氷。上長瀞駅に近い「阿左美冷蔵 金崎本店」で味わえます。
ハインリッヒ・エドムント・ナウマン(Heinrich Edmund Naumann)は明治8年8月17日に来日(まだ20歳という若さでした)。明治18年7月12日に離日するまで(約半年間ドイツに里帰りしていますが)、北は北海道に至るまで約1万kmという膨大な距離を訪ね歩いています。
当時のヨーロッパでは日本列島は火山島で、新生代になって形成されたというのが定説だったのです。
ナウマンが実際に日本列島の各地を歩くと古い時代の花崗岩が至るところに露呈し、さらに古生層も分布していることを発見します。
こうしてナウマンは明治18年に地質構造の異なるラインが糸魚川から静岡にまで至るのを発見し「日本群島の構造と起源について」(Über den Bau und die Entstehung japanischen Inseln)を発表、さらに明治26年に「フォッサマグナ」(Fossa Magna)と命名しているのです。
ナウマンが長瀞を訪れたのは明治11年のこと。日本列島の根幹をなす変成岩帯(三波川変成帯)を確認しています。
長瀞 | |
名称 | 長瀞/ながとろ |
所在地 | 埼玉県秩父郡長瀞町長瀞 |
関連HP | 長瀞町観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | 秩父鉄道長瀞駅から徒歩5分 |
ドライブで | 関越自動車道花園ICから約18km |
駐車場 | 140台/有料 |
問い合わせ | 長瀞町観光協会 TEL:0494-66-3311/FAX:0494-66-0308 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag