正法寺(岩間寺)

正法寺(岩間寺)

西国三十三所霊場第12番札所の正法寺(岩間寺)は、滋賀県大津市の山中、京都府宇治市との境、標高443mの岩間山に建つ真言宗醍醐派の寺。岩間山正法寺が正式名で、養老6年(722年)、女帝・元正天皇(げんしょうてんのう)の33歳の大厄の病を法力によって治したという泰澄(たいちょう=白山開山で有名)が勅命で開山した古刹です。

本尊の千手観世音菩薩は「汗かき観音」と慕われる尊像

正法寺(岩間寺)
正法寺(岩間寺)

寺伝によれば、泰澄大師は加賀白山を開いた後、岩間山を霊地と悟り、桂の木で千手観音を刻み本尊にしたとのこと。

本尊は、三重の厨子に納められている丈4寸8分(15cm)という千手観世音菩薩で、毎夜人々の救済のため百三十六地獄を巡るので、全身から汗を出すといわれ、「汗かき観音」と慕われています。
元正天皇の念持仏で、当初の本尊の胎内仏だったと推測されています。

往時、岩間山は雷が多い土地だったといいますが、泰澄大師は法力で雷を捕らえて戒めたといい、以来「雷除け観音」としても有名です。
雷が爪で掘ったと伝わる雷神爪堀湧泉は不老長寿の水と呼ばれ、健康長寿、ぼけ封じを願う参拝者が汲んでいきます。

「厄除け観音」、「ぼけ封じ観音」(ぼけ封じ観音第4番札所)としても名高く、4月17日には、『雷除け法要(雷神祭)』、5月17日と10月17日には『ぼけ封じ祈願会・ほうろく灸・柴灯護摩供』が行なわれています。
また、3月17日には『泰澄大師開山忌』が執り行なわれています。
毎月17日が本尊の縁日で(本堂で厄除け祈願法要、西国三十三所お砂踏み道場法楽、不動護摩供)、石山駅からシャトルバスが運行されています(毎月17日は駐車場がバス専用になります/詳しくは岩間寺ホームページを参照)。

「古池や蛙飛びこむ水の音」を詠んだ芭蕉池も

正法寺(岩間寺)
松尾芭蕉が「古池や蛙飛びこむ水の音」を詠んだ芭蕉池

境内には俳聖・松尾芭蕉が「古池や蛙飛びこむ水の音」を詠んだ芭蕉池も残されています。
『観音霊験記』によれば、芭蕉は、岩間寺に参籠して本尊の霊験を得、その俳風を確立したのだか。

「古池や蛙飛びこむ水の音」は芭蕉43歳の折である貞享3年(1685年)春、門弟多数を江戸深川の芭蕉庵に集めて、蛙を主題とする会を催した際に詠まれたもの。
池の所在に関しては、芭蕉庵の中、江戸本所六軒堀・鯉屋藤右衛門の屋敷の池など諸説あり定かでありません。

芭蕉が『野ざらし紀行』で大津を通ったのはこの句が詠まれた前年の貞享2年(1685年)。
江戸に帰って仕上げているのでまさにこの時に古池を見たという可能性は残されています。
木曽義仲を愛した芭蕉が、大津の「幻住庵」(現・滋賀県大津市国分2-5)に4ヶ月間隠棲したのは47歳の時、『奥の細道』の旅を終えた翌年、元禄3年(1690年)で句ができた5年後のこと。

正法寺(岩間寺)

西国三十三所霊場間の距離・時間

11番・深雪山上醍醐准胝堂(醍醐寺/京都府京都市伏見区醍醐東大路町22) — (14km/40分) — 12番・岩間山正法寺(岩間寺)(滋賀県大津市石山内畑町82) — (6km/25分) — 13番・石光山石山寺(滋賀県大津市石山寺1-1-1)
※距離と時間はルートや交通状況により変動するため、およその目安です

正法寺(岩間寺)
名称 正法寺(岩間寺)/しょうほうじ(いわまさん)
所在地 滋賀県大津市石山内畑町82
関連HP 正法寺(岩間寺)公式ホームページ
電車・バスで JR石山駅から京阪バス新浜行きで15分、中千町下車、徒歩40分
ドライブで 京滋バイパス石山ICから約5km
駐車場 50台/有料
問い合わせ 正法寺(岩間寺)TEL:077-534-2412
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
上醍醐准胝堂

上醍醐 准胝堂(醍醐寺)

2018年6月18日

 

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