美保神社

美保関灯台のある地蔵崎の入口、美保関の入江の奥に鎮座するのが美保神社。『出雲国風土記』に登場の歴史ある古社で、「国譲り神話」に登場する事代主命(ことしろぬしのみこと・恵比寿神)と三穂津姫命(みほつひめのみこと)が祭神。本殿は大社造りの神殿がふたつ並ぶ比翼大社造という珍しいものです。

全国のえびす社の総本宮という美保関の古社

近世頃から「大社(出雲大社)だけでは片詣り」といわれるようになり、漁業、海運、商売繁盛の守り神として信仰を集めていますが、三穂津姫命は豊作祈願の神様でもあり、農業関係者の参拝も。
全国のえびす社の総本宮ともいわれますが、事代主命と恵比寿神が結びついたのは、江戸時代以降のこと。

現存する比翼大社造(美保造)の本殿は1813(文化10)年の造営で、国の重要文化財。
拝殿は、昭和3年、建築学者・伊東忠太の設計監督により造営されたもの。

美保神社は、海上安全や諸願成就などの祈願に訪れる人が多く、「関の明神さんは鳴り物好き、凪(なぎ)と荒れとの知らせある」と北前船の船乗りたちに喧伝(けんでん)されたため、多くの楽器が奉納され、日本最古のオルゴールやアコーディオン、鳥取城で登城の時を告げていた直径157cmにもなる大鼕、島原の乱で戦陣に出されたと伝わる陣太鼓など846点が国の重要有形民俗文化財に指定されています。

『青柴垣神事』、『諸手船神事』は国譲り神話に因んだ神事

凍てつく冬の海で行なわれる『諸手船神事』
やがて檝子着の奪い合いが始まる

代表的な神事に、4月7日の『青柴垣神事』(あおふしがきしんじ)と12月1日から3日間行なわれる『諸手船神事』(もろたぶねしんじ)があり、ともに国譲り神話に因んだもの。

授与品に海難、病難、火難、水難、風難などを除ける「波剪御幣」(なみきりごへい)、昇運鯛守(しょううんたいまもり)などがあります。

12月の『諸手船神事』は、大国主命(おおくにぬしのみこと)が国譲りの是非を相談するため、息子である事代主命に使者を送ったという故事を再現(その時、事代主命は地蔵崎で釣りをしていました)。恵みに感謝する秋祭です。

4月の『青柴垣神事』は、国譲りを決めた事代主命が船を青柴垣に変えてその中に身を隠しますが、再び神として甦る様子を再現しています。豊作を祈る春の神事となっています。

当屋は1年間にわたり精進潔斎をする『青柴垣神事』
当屋夫婦を、青柴垣を飾った2隻の船に乗せ港内一周

取材協力/島根県観光振興課

美保神社
名称美保神社/みほじんじゃ
所在地島根県松江市美保関町美保関608
関連HP美保神社公式ホームページ
電車・バスでJR松江駅から一畑バス万原バスターミナル行き40分、終点下車、町民バス乗換え美保関行き30分、終点下車
ドライブで米子自動車道米子ICから約40km
駐車場美保関地区駐車場(40台/無料)
問い合わせ美保神社 TEL:0852-73-0506/FAX:0852-73-0317
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
美保神社『諸手船神事』

美保神社『諸手船神事』|2024

2024年12月3日(火)12:00〜、島根県松江市美保関町の美保神社で『諸手船神事』(もろたぶねしんじ)が齋行されます。美保神社の青柴垣(あおふしがき)神事とともに『古事記』などに記される事代主命(ことしろぬしのみこと)の国譲り神話に関係

美保関・地ノ御前島

美保関・地ノ御前島

島根県松江市美保関町、地蔵崎の先端の美保の碕(みほのせき)の鳥居から海を眺めると眼下に地ノ御前(ちのごぜんじま)という岩礁を眺望。さらに沖合にある沖ノ御前島とともに美保神社の祭神である事代主命(ことしろぬしのみこと・恵比寿様)の釣り場と伝え

青石畳通り

美保神社と仏谷寺(ぶっこくじ)を結ぶ全長260mほどの路地が青石畳通り。約500個の石が敷かれた石畳の道は江戸時代の参拝道だったもの。石畳は北前船の物資の積み降ろし作業の効率化を目的に、海石を切り出して江戸時代から大正時代に敷かれたもので、

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