高度成長時代、エコノミーな旅を望む庶民の味方だったのが、公営国民宿舎。地方自治体が運営するため、地元の一等地で、近代的な施設、そして手頃な料金で人気を博しました。現在ではその数も激減していますが、現存するのは人気のある宿だけ。そんななかで、標高日本一にある公営国民宿舎が「天望立山荘」です。
立山黒部アルペンルートの老舗宿は、昭和39年の開業

富山県の富山地鉄・立山駅と長野県の関電トンネル電気バス・扇沢駅を結ぶ立山黒部アルペンルート。
今では北アルプスの立山連峰、黒部湖、後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)を横切る、日本アルプス横断の旅が可能ですが、当初は、黒部ダム建設を目的とした関電トンネル(昭和33年2月24日に貫通)にトロリーバスが運行したのが始まり。
国立公園を貫通することで、「一般公衆の利用に供すること」が関電トンネル建設許可の条件だったことから、昭和39年8月1日、運転を開始しています。
そして立山登山で賑わった富山県側(富山の子どもたちは必ず成人になる前に立山を登拝していました)は、それに先駆ける昭和29年8月13日、千寿ヶ原(現・立山駅)〜美女平が開業。
ケーブルカーでバスを運び上げて、昭和30年7月1日、美女平 – 弘法間で立山高原バスが営業開始しています。
昭和33年9月1日、弥陀ヶ原(みだがはら)、昭和39年6月20日に標高2450mの室堂まで延伸、立山登山が日帰りも可能となったのです。
そんな立山黒部アルペンルートの歴史を眺め続けたのが、「天望立山荘」。
富山県営の国民宿舎として昭和39年に完成しています(当時の名称は「立山荘」)。
立山黒部アルペンルートの全通が昭和46年6月1日なので、全通の7年前から営業していることに。
完成時、現在のアルペンルート途中で山小屋以外の宿泊施設といえば、この「立山荘」と、同じ弥陀ヶ原にある「弥陀ヶ原ホテル」(昭和31年10月4日開業)だけです。
クラシックな弥陀ヶ原ホテルは、平成6年7月12日にリニューアルしているので(旧ホテルは解体)、今も往時の建物を残す「天望立山荘」は、実に貴重な存在です。

アルペンルートの中では手頃な料金設定

立山高原バス・弥陀ヶ原バス停のすぐ横に建つ「天望立山荘」。
蒲鉾(かまぼこ)のようなフォルムの建物は、吉阪隆正(よしざかたかまさ)の設計。
不規則に連なる窓が、いかにも一流建築家の手によるものという感じです(現存する涸沢ヒュッテ新館も同じ年に吉阪隆正設計で完成)。
完成当初は登山者の利用も多く、相部屋もありましたが、今では個室対応のみとなっています。
標高は1940mと公営国民宿舎では最高所の亜高山帯。
眼前には弥陀ヶ原の湿原が広がり、背後は立山カルデラという環境です。
6月くらいまでは雪原となるという過酷な気象条件なので、営業期間も例年4月15日〜11月3日という短い期間となっています。
アルペンルートの宿は、人気で、しかも「ホテル立山」が2026年の営業で終了するため、今後はさらに宿を取るのが困難になるかもしれません。
「天望立山荘」の予約は、例年2月にスタートするので、できれば早めの予約を。
客室は、和室(4.5畳〜12畳)と洋室(シングル、ツイン、トリプル)。
宿泊料金も夏場でも2万円以内と、アルペンルートでは非常に手頃な料金設定になっています。


| 【公営国民宿舎に注目!】避暑にも絶好! 日本最高所にある「天望立山荘」に泊まる | |
| 名称 | 天望立山荘/てんぼうたてやまそう |
| 所在地 | 富山県中新川郡立山町弥陀ケ原 |
| 関連HP | 天望立山荘公式ホームページ |
| 電車・バスで | 富山地方鉄道立山駅、または、関電トンネル電気バス扇沢駅から立山黒部アルペンルート、立山高原バスで弥陀ヶ原下車、すぐ |
| ドライブで | 北陸自動車道立山ICから約25kmで立山駅駐車場。長野自動車道安曇野ICから約40kmで扇沢駐車場 |
| 駐車場 | 立山駅駐車場(900台/無料、混雑時は臨時駐車場を600台/無料を開設) 扇沢駐車場(350台/有料、230台/無料、混雑時は臨時駐車場を600台〜800台/有料を開設) |
| 問い合わせ | 天望立山荘 TEL:076-442-3535/FAX:076-405-6828 |
| 掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 | |














