現存12天守に登城しよう!

国宝12天守

現在、国内に戦国末期から江戸時代の木造天守が残るのは12ヶ所。「現存12天守」と呼ばれています。北から、弘前城、国宝松本城、丸岡城、国宝犬山城、国宝彦根城、国宝姫路城、国宝松江城、備中松山城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城の12城で、四国に4城あることにも注目を。国宝5天守以外はすべて国の重要文化財です。

弘前城|青森県

日本最北の現存天守で、城郭跡の弘前公園は桜の名所

所在地:青森県弘前市下白銀町弘前公園
旧国名:陸奥国(むつのくに)
旧藩名:弘前藩
築城年:文化7年(1810年)
大きさ:3重3階
文化財指定:国の重要文化財
概要:弘前公園は、東北随一の桜の名所に(桜の剪定にリンゴの剪定技術を応用)
天守のほか、二の丸の辰巳櫓、丑寅櫓、未申櫓、三の丸追手門・三の丸東門・二の丸南門・二の丸東門・北の郭北門(亀甲門)の5つの門は当時の建物がそのまま残り、国の重要文化財に指定

弘前城

津軽藩の2代藩主・津軽信牧(つがるのぶひら)が1611(慶長16)年に築いた城が弘前城。一帯は弘前公園として整備されゴールデンウィーク前後には5000本の桜が咲き、「日本さくら名所100選」にも選定。弘前城は全国でも珍しい3重の堀を巡らし、

松本城|長野県

標高590mと現存天守としては日本最高所に建つ

所在地:長野県松本市丸の内4-1
旧国名:信濃国(しなののくに)
旧藩名:松本藩
築城年:文禄3年(1594年)着工、慶長2年(1597年)竣工/諸説あり定かでありません
大きさ:5重6階
文化財指定:国宝
概要:5層天守としては日本最古の城で、随所に実戦的な仕掛けが
天守最上階からは北アルプスを眺望

国宝松本城

5層天守閣としては日本最古の城。築城は1504(永生元)年ですが、5層天守閣となったのは1593〜1594(文禄2〜3)年のこと。鉄砲や矢を放つ狭間(さま)も117ヶ所も設けられ、実戦を意識した設計であることがよくわかります。本丸、二の丸一

丸岡城|福井県

江戸時代初期築なのに中世の「望楼型」

所在地:福井県坂井市丸岡町霞町1
旧国名:越前国(えちぜんのくに)
旧藩名:丸岡藩
築城年:寛永年間(1624年~1644年)/建築年不詳
大きさ:2重3階
文化財指定:国の重要文化財
概要:丸岡城は下層部の上に望楼部分を載せる「望楼型」
現存する天守は、長らく柴田勝豊創建当時のものといわれていましたが、坂井市教委が酸素同位体年代調査などを行ない、平成31年3月に寛永年間築だと結論づけています
屋根瓦は地元の笏谷石(しゃくだにいし)
角川映画『戦国自衛隊』(千葉真一主演/昭和54年)のロケ地にもなっています
平成25年、国宝化を目指し丸岡城国宝化推進室を設置

丸岡城(霞ヶ城公園)

柴田勝家の甥・柴田勝豊(しばたかつとよ)が天正4年(1576年)、北ノ庄城(福井城)の支城として築城した城で、藩政時代には丸岡藩の政庁となりました。天守は江戸時代初期のままの状態で現存し、現存する日本最古級の天守となっています。「日本100

丸岡城

国宝を目ざす丸岡城、天守は江戸時代築だった!

これまで、戦国時代の天守として国宝を目指してきたのが福井県坂井市にある丸岡城。国宝指定には築城年を示す正確な史料が必要です。その史料に欠ける丸岡城では、天守の通し柱などの科学的な調査を実施しました。その結果、なんと、戦国時代末期ではなく、江

犬山城|愛知県

織田信康(織田信長の叔父)が築いた天守は現存する日本最古の様式

所在地:愛知県犬山市犬山北古券65-2
旧国名:尾張国(おわりのくに)
旧藩名:犬山藩
築城年:創建は不詳、元和3年(1617年)大改修
大きさ:3重4階
文化財指定:国宝
概要:築城当初は2層式の天守だったと推測されていますが、文禄4年(1596年)、豊臣秀吉配下の石川貞清(いしかわさだきよ)が城主となった際に、改築
天守最上階の高欄の間からは濃尾平野はもちろん遠く木曽の御嶽山まで眺望

国宝犬山城

姫路城、彦根城、松本城、松江城と並ぶ国宝の天守が犬山城。天文6年(1537年)、鵜沼を対岸に木曽川を眼下にする要衝に織田与治郎信康(織田信長の叔父)が築いた天守は現存する日本最古の様式。木之下城(現・愛知県犬山市犬山愛宕・愛宕神社)から城郭

彦根城|滋賀県

時代劇のロケにしばしば使われる名城

所在地:滋賀県彦根市金亀町3-40
旧国名:近江国(おうみのくに)
旧藩名:彦根藩
築城年:元和8年(1622年)竣工
大きさ:3重3階
文化財指定:国宝
概要:彦根藩主井伊家の歴史を記した『井伊年譜』には、「天守は京極家の大津城の殿守也」とることから、大津城(大津市)の天守を移築したのではないかと推測されています
実戦的な備えがされた近世的な城郭となっていますが、豊臣家の滅亡後は、天守ですら倉庫として活用

彦根城

彦根城

彦根城(滋賀県彦根市)は、姫路城などとともに国宝5天守の一つに数えられる名城で、約20年の歳月をかけて元和8年(1622年)頃に完成をみた彦根藩井伊家35万石の居城です。琵琶湖八景「月明・彦根の古城」に数えられるほど優美な姿を見せる天守は、

彦根城・天守

彦根城・天守

彦根城の国宝に指定される天守は、牛蒡(ごぼう)積みと呼ばれる一見雑に見えるが実は強固だという石垣の上に三重の天守をのせたもの。天守完成の慶長11年(1606年)には、彦根藩はまだ18万石。石高に合わせたやや小ぶりの天守となっていますが、北西

姫路城

現存する天守のなかで最大の規模を誇る

所在地:兵庫県姫路市本町68
旧国名:播磨国(はりまのくに)
旧藩名:姫路藩
築城年:慶長14年(1609年)竣工
大きさ:5重6階
文化財指定:国宝
概要:日本三大平山城、日本三大連立式平山城
現存する天守のなかで最大の規模を誇り、大天守と3重の小天守3基(東小天守・西小天守・乾小天守)、さらに天守を結ぶ2重の渡櫓のすべてが国宝
大天守の階段は最上部では51.5度という急階段で、敵兵の進軍を阻む仕掛け(日常生活に天守が使われなかったことは明らか)

姫路城

日本の近世城郭のなかでも、築城当時の姿を残す唯一の存在といわれる姫路城。歴史は古く、1333(元弘3)年、播磨の守護職・赤松則村によって、砦が築かれたのが始まり。羽柴秀吉により、さらに池田輝政が現在の城郭を建築しました。天守群は国宝に、そし

姫路城・天守

世界文化遺産に登録される姫路城のシンボル的な存在が天守丸にそびえる連立した天守群。国内に現存する12の現存天守の一つが姫路城の天守。しかも現存する天守のなかで最大の規模を誇り、大天守と3重の小天守3基(東小天守・西小天守・乾小天守)、さらに

松江城

石落としや鉄砲狭間など、桃山期の実戦的な様式を残

所在地:島根県松江市殿町1-5
旧国名:出雲国(いずものくに)
旧藩名:松江藩
築城年:慶長16年(1611)竣工
大きさ:4重5階
文化財指定:国宝
概要:屋根にのった木彫り青銅張りの鯱(しゃちほこ)は、高さ2mもあり、現存する木造の鯱では日本で最大
江戸時代初期の『正保城絵図』と見比べると、多くの相違点があり、元文3年(1738年)〜寛保3年(1743年)に大改修したことがわかります

松江城(城山公園)

松江城(城山公園)

慶長16年(1611年)、信長・秀吉・家康に仕えた堀尾吉晴(ほりおよしはる)が亀田山に築城した城。関ヶ原の合戦後、堀尾吉晴、忠氏親子は月山富田城に入城しますが、山城で不便なため亀田山に松江城を築き、近世的な城下町を縄張りしたのです。松江城の

松江城・国宝天守

松江城・国宝天守

松江城の天守は、全国に現存する12天守のひとつで、国内に5つしかない国宝天守のひとつ。慶長16年(1611年)、堀尾吉晴が5年の歳月をかけて完成したもの。12天守のうち、天守閣の大きさ(平面規模)では2番目、高さ(約30m)では3番目、古さ

備中松山城

天守の標高は430mと、現存する天守のうち城下町との比高は日本最大

所在地:岡山県高梁市内山下1
旧国名:備中国(びっちゅうのくに)
旧藩名:備中松山藩
築城年:天和3年(1683年)竣工
大きさ:2層2階
文化財指定:国の重要文化財
概要:日本三大山城のひとつ
現存12天守のうちでも唯一の山城で、雲の上にそびえる城郭は「天空の城」として人気
城下町との比高では最大の現存天守となり(松本城の天守は標高590mで日本最高所)、天守の高さは11mも、現存天守の中では最も低いもの

備中松山城

備中松山城

岡山県高梁市、高梁川を眼下にする4つの峰からなる臥牛山(487m)の山上に建つ山城。岩村城(岐阜県恵那市岩村町)、高取城(奈良県高取町)と並び日本三大山城に数えられています。往時の天守が残る現存12天守のうちでも唯一の山城で、雲の上にそびえ

備中松山城・天守

備中松山城・天守

備中松山城は、大松山・天神の丸・小松山・前山(下太鼓丸)という4つの峰からなる臥牛山山上に建つ山城。本丸は標高430mの小松山に位置し、その最高所に建つのが天守。二重櫓と同様に天和元年〜天和3年(1681年~1683年)の建築で、国の重要文

丸亀城

現存、四国最古で最小の天守

所在地:香川県丸亀市一番丁
旧国名:讃岐国(さぬきのくに)
旧藩名:丸亀藩
築城年:寛永20年~万治3年(1643年~1660年)頃
大きさ:3重3階
文化財指定:国の重要文化財
概要:天守というものの高さも15mほどの御三階櫓なので、現存する12天守のなかで「最小の天守」とも(実際には備中松山城は11mで最小)

丸亀城

丸亀市のシンボルともなっている丸亀城は、亀山(標高66m)の山頂に本丸を配した平山城。1597(慶長2)年、豊臣秀吉の配下として活躍した生駒親正(いこまちかまさ)が讃岐17万石を与えられ入城し、6年の歳月を要して近世の城郭に変えています。本

丸亀城・天守

丸亀市のシンボルともなる丸亀城は、1597(慶長2)年、豊臣秀吉の重臣・生駒親正(いこまちかまさ)が、西讃防備のために、高松城の支城として5年の歳月を掛けて築いた城。三重三層入母屋造の天守閣は、日本に現存する12の木造天守のひとつで、国の重

松山城

現存12天守で唯一の三つ葉葵の瓦紋

所在地:愛媛県松山市丸之内1
旧国名:伊予国(いよのくに)
旧藩名:松山藩
築城年:1854(安政元)年竣工
大きさ:3重3階
文化財指定:国の重要文化財
概要:日本三大平山城、日本三大連立式平山城
現存する天守は3代目で、日本の城郭建築史上、最後に建てられた天守

松山城

松山城

愛媛県松山市街の中心、標高131.4mの勝山に建つ松山城は、秀吉の家臣で賤ヶ岳合戦の「七本槍」の一人、加藤嘉明(かとうよしあきら)が25年の歳月を費やし寛永4年(1627年)に築城した平山城。天守など21棟が現存し、国の重要文化財に指定され

宇和島城

伊達政宗の子、伊達宗利が築いた天守が現存

所在地:愛媛県宇和島市丸之内1
旧国名:伊予国(いよのくに)
旧藩名:宇和島藩
築城年:寛文11年(1671年)改築竣工
大きさ:3重3階
文化財指定:国の重要文化財
概要:標高80mの丘陵地にある平山城で伊達家の居城
2代藩主・伊達宗利(だてむねとし)が大改修の際に、現在の天守を構築

宇和島城

宇和島城

宇和島城は、愛媛県宇和島市街の中心部、標高80mの丘陵地にある平山城。丸串城と呼ばれた中世の砦がありましたが、板島(現在の宇和島)に入城した築城の名手・藤堂高虎(とうどうたかとら)が大改修を行ない、慶長6年(1601年)にほぼ現在の姿が整え

宇和島城・天守

宇和島城・天守

愛媛県宇和島市にある、藩政時代に宇和島藩の藩庁だったのが、宇和島城。築城の名手・藤堂高虎(とうどうたかとら)が天守を築いたのが始まりですが、2代藩主・伊達宗利(だてむねとし)が大改修の際に、現在の天守を構築。江戸時代の天守が残る「現存12天

高知城

日本最南の現存天守は土佐・山内家の居城

所在地:高知県高知市丸ノ内1-2-1
旧国名:土佐国(とさのくに)
旧藩名:土佐藩
築城年:1749(寛延2)年竣工
大きさ:4重5階
文化財指定:国の重要文化財
概要:初代藩主となった山内一豊(やまうちかつとよ)が前任の掛川城(遠州国=静岡県)を模して突貫工事で建築されたからとも
望楼型天守の典型で、外観は4重、内部は5階建て
現在の天守は2代目、天守、詰門、多聞櫓、追手門など現存する15棟は、国の重要文化財

高知城(高知公園)

高知城は、1601(慶長6)年から10年の歳月を費やし、土佐藩の初代藩主・山内一豊(やまうちかつとよ)が築城した平山城。現存する天守は、1727(享保12)年に城下の大火の延焼で焼失後、1753(宝暦3)年に再建されたもの。天守、詰門、多聞

高知城・天守

高知城の本丸にそびえる天守は現存12天守(弘前城、国宝松本城、丸岡城、国宝犬山城、国宝彦根城、国宝姫路城、国宝松江城、備中松山城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城)のひとつ。望楼型天守の典型で、外観は4重、内部は5階建て。2重の入母屋造りの

現存12天守に登城しよう!
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
全国に現存する三重櫓 12基

全国に現存する三重櫓 12基

天守がない城や、天守が焼失し再建されなかった城では代用天守としても機能し、天守があった城でも、防備の拠点として重要な役割を担った櫓(やぐら)が、三重櫓。国内に数ある城郭の中で、往時の三重櫓は12基が現存、奇しくも現存12天守と同じ数です。弘

日本三大平城

日本三大平城とは!?

近世を中心に水運など海上交通を活用でき、街道など陸上交通の要衝に築かれたのが平城。天下普請(てんかぶしん)で築かれた名古屋城、三重の堀に囲まれた岡山城、「最も広い島地」に築かれた広島城が、日本三大平城と称されています。名古屋城を外し、二条城

日本五大山城(戦国五大山城)とは!?

日本五大山城(戦国五大山城)とは!?

越後国(新潟県)の春日山城、能登国(石川県)の七尾城、近江国(滋賀県)の観音寺城、小谷城(おだにじょう)、出雲国(島根県)の月山富田城が日本五大山城。日本三大山城が、江戸時代に藩庁となった近世的な城郭としても使われたことに対し、この5城はあ

日本三大平山城

日本三大平山城とは!?

平野部にある山、丘に築かれた城が平山城。織田信長が築いた安土城が最初とされ、姫路城(兵庫県姫路市)、津山城(岡山県津山市)、松山城(愛媛県松山市)が日本三大平山城と称されていますが、和歌山城(和歌山県和歌山市)、姫路城、松山城は、日本三大連

日本三大水城

日本三大水城とは!?

海を天然の要害として掘りに取り入れ、物資の輸送に舟運を利用したのが水城。水軍や藩主を乗せた御座船も活用できる利点がありました。日本三大水城に数えられるのは、高松城(香川県高松市)、今治城(愛媛県今治市)、中津城(大分県中津市)の3城です。高

日本三大山城

日本三大山城とは!?

古代から中世に、険阻な山を利用して山上に築かれたのが山城。居住空間としては不便なため、山麓に居館が置かれたりしました。日本三大山城に数えられるのは、岩村城(岐阜県恵那市)、高取城(奈良県高取町)、備中松山城(岡山県高梁市)の3城です。岩村城

日本最古の天守

現存最古の天守はどこ!?

日本には全国12ヶ所に往時の天守が残り、そのうち犬山城、松本城、彦根城、姫路城、松江城が国宝に指定されています。では、日本最古の天守(現存天守で最古の天守)はどこでしょう。これまでの通説は、丸岡城(福井県坂井市)だったのですが、平成31年3

国宝5天守

【国宝5天守】 なぜ国宝は5天守だけ!?

日本には、戦国時代末から江戸時代に建築された天守が、12ヶ所残されていますが、そのうち、国宝に指定されるのは、犬山城(愛知県犬山市)、松本城(長野県松本市)、彦根城(滋賀県彦根市)、姫路城(兵庫県姫路市)、そして松江城(島根県松江市)です。

 

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