東京都台東区、上野恩賜公園の南端に位置する周囲約2kmの池で、ボートも浮かんでいるのが不忍池。南の蓮池、北の鵜の池、西のボート池に分かれ、3つの池の接する部分に弁天島(中之島)があります。東京湾の入江の名残りですが、平安時代には海が後退して池として残されたもの。
東京湾の名残りをとどめる池
東叡山寛永寺(西の比叡山に対して東叡山という関東の天台宗の中心寺院)が建立される際、徳川家康に重用された天海僧正が不忍池を琵琶湖に見立て、琵琶湖の竹生島・宝厳寺に倣って弁才天を祀る弁天島(中之島)を築造、不忍池辯天堂(現在は谷中七福神のひとつ)を建立しています。
弁天橋より北側(鵜の池側)は恩賜上野動物園の敷地内で、水上動物園に。
不忍通りから半円を描くように囲まれた部分はボート池と呼ばれ、不忍池ボート場に貸ボート(ロウボート・サイクルボート・スワンボート)が用意されています。
南側の蓮池の畔には江戸時代にあった茶屋を再現した蓮見茶屋もあり、ひと休みが可能。
蓮池畔、上野駅寄りには下町風俗資料館も建っています。
大正3年3月20日〜7月31日に行なわれた「東京奠都(てんと)五十年奉祝博覧會」では、不忍池・蓮池には池の東西を結び、「ケーブルカー」と称された全長400mのロープウェイが架けられ、不忍池の北東部には上野公園との段差を克服する、日本初のエスカレーターも設置。
意外なモニュメントとしては、弁天島の付け根、蓮池の畔に、駅伝の碑(駅伝発祥の地記念碑)が立っています。
また、不忍池は、ユリカモメ、カワウ、オナガガモ、キンクロハジロ、オオバン、カルガモ、ヒヨドリ、ハシビロガモ、カワラバトなど野鳥を観察するポイント。
広重が描いた不忍池
歌川広重が描いた東都名所『上野山王山・清水観音堂花見・不忍之池全図 中島弁財天社』は、『江戸名所図会』における長谷川雪旦の挿絵をベースに描いたと思われる浮世絵。
ドローンで撮った画像のような俯瞰的な絵で、今と同じような地形であったことがわかります。
上野恩賜公園は、全体が寛永寺の境内でした。
同じ広重の東都名所『不忍之池』は、蓮の花が咲く蓮池の絵。
中之島の茶屋からの蓮見の情景を描いています。
『江戸名所図会』にも「花の頃は紅白咲き乱れ、天女の宮居はさながら蓮の上に湧出するが如く」すという記載があります。
不忍池 | |
名称 | 不忍池/しのばずのいけ |
所在地 | 東京都台東区上野公園 |
電車・バスで | JR上野駅不忍口から徒歩10分、東京メトロ千代田線湯島駅から徒歩5分 |
ドライブで | 首都高速上野ランプから500m |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
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