飛鳥山公園モノレール(あすかパークレール)

徳川吉宗が山桜を植栽し、江戸時代から桜の名所として名高い、王子、飛鳥山公園(東京都北区)。飛鳥山と呼ばれるような「山」ゆえに、年配の人や妊婦などには階段が大きな障害に。そこで北区がバリアフリー化の波に乗って平成21年に開通させたのが、ユニークな「飛鳥山公園モノレール」(愛称あすかパークレール)です。

標高25.4mの飛鳥山に上る「登山鉄道」として人気

まちづくり交付金「都市再生整備計画事業」を活用し、「飛鳥山公園の歴史的な経緯を踏まえ、貴重な自然や景観に配慮した斜行モノレールを整備し、障害者や高齢者、ベビーカー利用者等来園者の移動円滑化を図る」目的で、北区が整備した乗り物(公共交通機関)。
眼下に都電荒川線を眺めるというロケーションもなかなかのもの。じっくり待つと、高速バスも走っています。

施設名が「あすかパークレール」、車両の愛称がカタツムリに似たスタイルから「アスカルゴ」と名付けられています。
開業は平成21年7月17日。花見シーズンに間に合わなかったのは、工事中に防空壕跡が現れたためだとか。

専門的にいえば、自走式モノレールにあたり、一般的にはスロープカーと呼ばれるもの。
レール延長48mで、標高差17.4mを克服しています。

駆動モーターがピニオン(円形小歯車)を回し、ピニオンの回転運動をラック(歯竿)の直線運動にエネルギー変換し、「アスカルゴ」が駆動とのこと。本格的なラック&ピニオン方式というわけなのです。
傾斜角度は24度もあるので、「飛鳥山の登山鉄道」といえるかもしれません。

2分ほどの乗車ですが眺望もバツグン

JR・東京メトロ王子駅、都電荒川線王子駅前駅に近い飛鳥山公園入口駅で、乗車します。
実際に乗ると意外にのんびりに感じますが、時速は1.8km。それでも2分弱で飛鳥山山頂駅に到着。

無人運転ですが、運行中は係員が乗降場に常駐しているので安心です。
車輌のアスカルゴは、16人乗り(いす席6人、立ち席10人)が1台。せっせと往復するのです。
しかも車内では、東京都北区滝野川で育った倍賞千恵子さんの飛鳥山ガイドが流れています。

車いすも一度に2台まで乗車可能ですし、もちろんベビーカーの乗車もOKです。
花見シーズンや行楽シーズンの土・日曜、祝日には混雑して順番待ちになることも。
沿線にはあじさいが植栽され、梅雨時ならのんびりと花見も可能とか。

飛鳥山公園は、明治6年1月15日の太政官布告で、上野公園・芝公園・浅草公園と並んで日本で最初に誕生した公園です。
また、「飛鳥山公園モノレール」(あすかパークレール)の飛鳥山山頂駅近くには、モノレールの開業と同時に設置された基準点と飛鳥山の山頂を示すケルンも造られていますからお見逃しなく!

倍賞千恵子さんは滝野川育ち

北区立滝野川第六小学校、北区立紅葉中学校(現:北区立滝野川紅葉中学校)卒業。父は都電の運転士、母は車掌でした。小5の時、NHK「のど自慢」に出演してみすず児童合唱団にスカウトされました。青山にあるレコード会社に稽古に通う際も都電。滝野川から都電に乗車し、神保町で乗り換えて青山へ。「父の運転する電車に乗り合わせたことも何回かありました」とのこと。

飛鳥山公園モノレール(あすかパークレール)
名称 飛鳥山公園モノレール(あすかパークレール)/あすかやまこうえんものれーるあすかぱーくれーる
所在地 東京都北区王子1丁目地内
関連HP 北区公式ホームページ
電車・バスで JR京浜東北線王子駅中央口・南口から徒歩すぐ
駐車場 21台/有料
問い合わせ 北区役所道路公園課公園河川係 TEL:03-3908-9275
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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