石室(皇居東御苑)

現在は皇居東御苑の一部となった江戸城の本丸。その本丸跡の蓮池濠沿いにあるのが石室。文字通り、石で組んだ室(むろ=部屋)で、内部は20平方メートルほどの広さとなっています。石は伊豆半島から船で運んだ安山岩(伊豆石)の切石で、隙間もないほどキッチリと石が積まれています。

大奥の調度品や文書類を収蔵する富士見御宝蔵!?

皇居東御苑園内図

何に使われていたのかは定かでありませんが耐火性の必要なものを納める蔵だったことは間違いないでしょう。大奥御納戸の脇という場所柄から大奥の調度品や文書類を収蔵する富士見御宝蔵と考えられています。

実際、組んだ石の壁には天守台石垣同様の焼痕(やけあと)が見受けられます。
入口には扉を取り付けた穴があるので、耐火性に優れた扉があったことがわかります。

これは本丸御殿が度重なる火災で炎上したときの焼痕と推測できます。
江戸城の抜け穴説、御金蔵説もささやかれますが、残念ながらその可能性は低いと思われます。

富士見多聞(注/富士見多門櫓ではありません)北側にあるので、江戸城本丸跡を散策する際にはお見逃しなく。

往時には天井に木が貼られていました

船で運ばれた江戸城本丸の石

伊豆半島には網代、伊東、稲取、伊東、松崎(室岩洞)など各所に伊豆石を切り出した石丁場(いしちょうば)の跡があります。

伊豆石には安山岩系(硬質)、凝灰岩系(軟質)と2種類あり、安山岩系の伊豆石は真鶴石・小松石・根府川石などとも呼ばれ、耐火性に優れ、風化しにくいという特徴があり、本丸などの耐火性が求められる部分に活用されました。

凝灰岩系の伊豆石は伊豆御影石、伊豆青石、沢田石などと呼ばれ、こちらも耐火性に優れています。軟らかいため加工が容易で、しかも比較的軽いという特徴から扱いやすいというメリットがあります。
ただし風化しやすいという欠点があります。伊豆青石は、水を掛けると美しい青色にかわる特長から、庭石などにも使われています。

とくに伊豆石の中心となった積み出し湊は東伊豆の伊東で、多い時には3000艘もの船が月に2度ずつ江戸と伊東の間を往復したといわれ、御石ヶ沢隧道から網代にかけての地域は、今も御石ヶ沢と呼ばれています。

伊豆急行線稲取駅前にある伊豆石の切り出し体験コーナー
伊豆石を切り出した跡が洞窟に(西伊豆・松崎町、室岩洞)
石室(皇居東御苑)
名称 石室(皇居東御苑)/いしむろ(こうきょひがしぎょえん)
所在地 東京都千代田区千代田1-1
関連HP 宮内庁公式ホームページ
電車・バスで 東京メトロ竹橋駅から徒歩10分。東京メトロ大手町駅から13分。JR東京駅から徒歩20分
駐車場 なし/北の丸公園第一駐車場(144台・有料)など周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 宮内庁 TEL:03-3213-1111
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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