鳥取市街の西にある周囲16km、面積6.8平方キロメートルの汽水湖で、「日本最大の池」。最深部でも7mしかなく、それが池といわれるゆえん。かつては大きな入江でしたが、砂州が伸びて海と分断されました。池には青島、津生島、団子島、猫島、鳥ヶ島の島々があり、周囲1.8kmという最大の青島は南岸と青島大橋で結ばれています。
鳥取県では中海に次ぐ面積を誇る海跡湖
古代に日本海から浸入した入江が、砂丘の発達や堆積によって、海と分離されてできた海跡湖。湖山川によって日本海と結ばれています。
湖山川には洪水と高潮防止のための水門が設置されており、現在は、海水の流入量制御に利用されています。湖山川は、かつては千代川を経由して日本海とつながっていましたが、昭和58年の千代川河口付け替え工事により、現在は、鳥取港を経由して日本海とつながっています。
平成22年に世界ジオパークネットワークに加盟した「山陰海岸ジオパーク」の西部に位置するジオスポット。千代川河口西側には、湖山砂丘が広がっています。
漁業資源も豊富で湖山池漁協組合に加盟する30人の漁師が、ワカサギ、コイ、フナ、ウナギ、セイゴ、手長エビ、シラウオなどの漁を行なっています。漁協または釣具店で遊魚券を購入すれば釣りも楽しめます(ルアー禁止などの禁止事項と禁漁期間あり)。
三津地区では、石の隙間に潜む魚を棒でつついて追い込み捕獲するという全国的にも珍しい「石がま漁」(鳥取県の無形民俗文化財)が厳冬期に行なわれています。
青島は湖山池公園として整備されており、31種478本の桜が植栽されている。標高60.8mの島の最高点は展望台で、日本海まで眺望できる。青島からは縄文時代の遺跡が発見されていますが、それは湖山池が漁業資源の宝庫である証しでもあるのです。
湖山池東岸には、因幡国守護所である布勢天神山城があり、西岸の半島には国人領主・吉岡氏の居城である防己尾城が築かれていました。
「日本最大の池クルージング」も運航中
島々が浮かぶ湖山池は、「山陰の松島」という形容もピッタリ。というわけで、山陰松島遊覧が青島大橋のたもとから「湖山池遊覧船」を運航しています。「日本最大の池クルージング」がキャッチフレーズで、猫島、津生島、団子島、鳥ヶ島と島々を一巡する40分のコースです。3月~4月の「お花見遊覧船」、5月~6月の「初夏遊覧船」、9月中旬〜11月の「秋の行楽遊覧船」が運航されています。船には語り部が同乗し、湖山池にまつわる伝説や昔話などを鳥取弁で楽しく解説。
高草郡の湖山の里に、赤坂の長者と呼ばれるたいへん大金持ちの長者が住んでいました。周辺の長者よりも多くの田畑と財宝を手にし、栄華を誇っていたのです。赤坂の長者の村では、例年、村人総出で田植えを日没までに終えるのが習わし。田植えの最中に、子供を逆さに背負った野猿を見つけ、しばしそれに見とれてしまいます。田植えを終えられなかった赤坂の長者はいちばん大切にしている金の扇をあおって太陽を呼び戻し田植えを終えるます。翌朝、起きてみると田んぼはすべて池に変わってしまっていました。その池が湖山池です。
この話、江戸時代の小泉友賢が著した『因幡民談記』(1688年成立の地誌)に記載されています。「長者屋敷並墓高草郡伏野の濱にあり。是を赤坂の長者と云。此者國中第一の長者也と云傳ふ」。さらに柳田國男の「日を招く話」にも湖山長者の例をあげています。太陽につかえる宗教の代表的人物の話として東アジア広域に伝わる話で、ルーツは古代中国とも。そして湖山池では日が昇る場所が、摩尼山・喜見山である点にも注目です。古代の太陽信仰が、大陸から農業とともにいち早く因幡の国に伝わった証といえるでしょう。
湖山池 | |
名称 | 湖山池/こやまいけ |
所在地 | 鳥取県鳥取市湖山町 |
関連HP | 鳥取市観光コンベンション協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR鳥取大学前駅から徒歩20分でお花畑ゾーン |
ドライブで | 鳥取自動車道鳥取ICから約5.3km |
駐車場 | 湖山池公園駐車場(無料)を利用 |
問い合わせ | 湖山池情報プラザ TEL:0857-31-2900 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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