平安時代、空也上人によって始められた踊念仏が、念仏踊りとなり、盂蘭盆会(うらぼんえ)と結びついて精霊を迎える、死者を供養するための行事として発展した盆踊り。日本三大盆踊りに数えられるのは、有名で、目下お騒がせの阿波おどり(徳島市)、徹夜踊りで知られる郡上おどり(岐阜県郡上市)、そして西馬音内盆踊り(秋田県羽後町)です。
西馬音内盆踊り
秋田県羽後町/国の重要無形民俗文化財
毎年8月16日〜18日
明治40年、偶然目にした俳人で正岡子規の高弟、河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)は「初めて絵になる盆踊りを見た」と記しています。
慶長6年(1601年)西馬音内城主小野寺茂道一族は悲運が重なって滅亡。
その遺臣たちが君主を偲んで盆踊りを始めました。
豊かな実りを願い、祖霊たちと一体となり、一心不乱に踊り続けますが、その芸術性も高く評価されています。
郡上おどり
岐阜県郡上市/国の重要無形民俗文化財、三大民謡(郡上節)
毎年7月中旬〜9月上旬まで延べ32夜(踊らない日もあります)、8月13日〜16日には盂蘭盆会(徹夜踊り)
「郡上のナァ〜」の唄声、三味線、太鼓に笛の音、郡上おどりは東海地方でもっとも有名な盆踊りです。
中世の念仏踊りや風流踊りをルーツに、江戸時代に初代郡上藩主・遠藤慶隆が領民親睦のため奨励したのが発祥。
阿波おどり
徳島県徳島市/四国三大祭
踊り子の数や観客数では日本一の盆踊り。
精霊踊りや念仏踊りが原形で、天正14年(1586年)、徳島城建築の際、蜂須賀家政が城下に「城の完成祝いとして、好きに踊れ」とお触れを出したのが始まりとも。
徳島の商人たちにより、文化文政年間(1804年〜1830年)に盛んに踊られるようになりました。
三味線、太鼓、鉦鼓、篠笛などの2拍子の伴奏にのって連(れん)と呼ばれる踊り手の集団が「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、踊る阿呆(あほう)に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」(阿波よしこの)と徳島市街を練り歩きます。
「夏の晴れた日に徳島の盆踊りを見た。古典的な輝きにあふれ、死者に捧げられた祭りらしい神秘的熱狂につつまれていた。その数日間、生者と死者はこの世で特別の友愛の日々をすごし、誰もが、霊となって短時日家族のもとに帰ってくる亡くなった愛しい人々をいつくしむ。何もわからないあわれな閣入者である私も信者の群にまじって、周囲の雰囲気に誘われていくたりかの亡くなった知人たちを思い出す」(『徳島の盆踊り』1916年、晩年、徳島で暮らしたポルトガルの軍人、外交官、文筆家のモラエス)。
日本三大盆踊りとは!? | |
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