岐阜県恵那市岩村町、標高721mの城山の山頂に築かれ、高低差180mの地形を活かした堅固な山城が岩村城。大和・高取城、備中・松山城と並び、「日本三大山城」のひとつ。地形的な要因で霧が立ちこめやすいことから「霧ヶ城」とも呼ばれている城で、「日本100名城」にも選定。山上の出丸まで車で上ることも可能です。
戦国時代には武田、織田が争奪戦を展開!
山城としたは、文治元年(1185年)、源頼朝の重臣・加藤景廉(かとうかげかど)が砦を築いたのが始まりですが、歴史の表舞台に登場するのは戦国時代。
実際に、石垣が組まれ、本格的な城が築かれたのは戦国時代のこと。
信濃と三河に通じる東濃の要衝に位置するため、上洛を目指し美濃への進出を目論む武田信玄と、それを阻止しようとする織田信長とがこの城を巡って攻防戦を展開しています。
織田信長は、信濃への備えとして岩村城主・遠山景任(とおやまかげとう)に叔母の艶(おつや)の方を嫁がせています。
永禄年間(1558年〜1570年)に、遠山氏は武田氏と織田氏に両属し、武田・織田同盟(甲尾同盟)への架け橋ともなっています(甲尾同盟締結で、信長の嫡男・織田信忠と信玄の娘・松姫が婚姻)。
元亀3年(1572年)、遠山景任が病没し、遠山氏の血統が断絶。
織田信長は東美濃の支配権を奪う好機と考えて、遠山景任の養嗣子5男の御坊丸を送り込み、艶の方が後見人となり、地元で称される「女城主」となったのです。
駿河に侵攻し、徳川家康と対峙する武田信玄は、恵那郡の支配権が信長に奪われたことを問題視し、伊那郡代の秋山虎繁秋山虎繁(秋山信友)と依田信守に岩村城の占領を厳命。
元亀3年(1572年)〜天正3年(1575年)の岩村城の戦いで、「女城主」の艶の方は、なんと武田方の秋山虎繁(秋山信友)の妻となって岩村城はついに武田軍の手に落ちています(秋山と婚姻するという条件で降伏し開城)。
信玄没後、武田勝頼と織田・徳川連合軍との長篠の合戦で武田氏が滅亡すると、再び信長軍が岩村城を奪還。
城を守る信玄・勝頼の家臣・秋山虎繁(秋山信友)と艶の方は降伏しますが、叔母であるお艶の方も、長良川で首を刎ねられるという極刑に処せられているので、武田軍への寝返りを信長は良く思っていなかったことがわかります。
長篠合戦の後、戦国時代には森蘭丸、森長一、森忠政の森3代が入城。
江戸時代には岩村藩の藩庁となり、大給松平氏、丹羽氏が城主となり、近世的な城に改修されています。
江戸時代後半には再び大給松平氏の居城となって、明治維新を迎えています。
進軍を阻む本丸虎口の「六段壁」に注目!

城主の居館があった登城口あたりの標高は550m、城山山頂の本丸部分は713mなので、比高は160mほど。
本丸には二重櫓が2基築かれていましたが、三の丸大手口にあった三重の櫓が唯一の三重櫓で、代用天守ともいうべき建物でした。
明治6年に主要な建物は破却され、現存するのは石垣のみとなっています。
本丸虎口の石垣は6段となって進軍を阻む構造。
「六段壁」という名を有していますが、下から眺めるとまさに壁のように立ちはだかります。
麓にある岩村城藩主邸太鼓櫓・御殿門・平重門・土塀は平成2年に復元されたもの。
太鼓櫓は、城下に時を告げる太鼓が下がってたのがその名の由来です。
関ヶ原の戦い直後の慶長6年(1601年)、美濃岩村藩の初代藩主・松平家乗(まつだいらいえのり)によって造られたものに倣って復元されています。
城内には17の井戸があったとされますが龍神の井、霧ヶ井なども現存。
見事な石垣と井戸だけの見学でも充分に登城する価値があります。
近年では、見事な石垣などから、「日本のマチュピチュ」などとも称され、SNSなどでも注目を集めています。
加藤景廉が祭神として祀られる城内鎮守の八幡神社(恵那市岩村町大路)本殿は、岩村城八幡曲輪の八幡神社から移築されたもの(明治5年、岩村城の廃城に先立って、現在地に遷座)。
国道418号沿いにあるので、時間があればお立ち寄りを。
恵那市岩村町飯羽間の徳祥寺(とくしょうじ)山門は、廃城令後の明治6年、土岐門を移築したと伝えられています。
正保城絵図に見る 岩村城

| 【完全攻略ガイド】岩村城 | |
| 名称 | 岩村城/いわむらじょう |
| 所在地 | 岐阜県恵那市岩村町城山 |
| 関連HP | 恵那市公式観光サイト |
| 電車・バスで | 明知鉄道岩村駅から登城口の太鼓楼まで徒歩30分、さらに頂上本丸まで徒歩30分 |
| ドライブで | 中央自動車道恵那ICから約17km |
| 駐車場 | 30台/無料 |
| 問い合わせ | 岩村歴史資料館 TEL:0573-43-3057 |
| 掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 | |







































