恵那峡

恵那峡

岐阜県中津川市と恵那市を流れる木曽川の峡谷が恵那峡。大正9年に地理学者で『日本風景論』の著者として知られる志賀重昴(しがしげたか)によって命名された恵那峡。大井ダムの上流12kmにわたる木曽側が生み出した峡谷で、両岸には獅子岩、金床岩(かなどこいわ)、屏風岩、蛙岩、犬戻など数々の奇岩や怪石がそびえ立っています。

恵那峡遊覧船の乗り場周辺が観光の拠点

関西の電力不足を背景に、大正11年に着工、大正13年に完成した日本最初のダム式発電所が大同電力の大井ダム。
電力王として知られる福沢桃介が築いたダムで、その建造によって誕生した人造湖の出現により恵那峡は手頃に探勝できる景勝地となったのです。
工事には3年を費やし、福沢桃介は女優・川上貞奴(かわかみさだやっこ)を伴ってしばしばこの地を視察に訪れています。
当時、福沢桃介は川上貞奴とともに、名古屋城近くの「二葉御殿」(現・「文化のみち二葉館」)に暮らし、恵那峡の工事現場まで足繁く通ったのです。

川上貞奴の協力もあって完成したダム工事ですが、当時としては世界有数のビッグプロジェクトで、大井ダム・大井発電所は土木遺産、経済産業省の近代化産業遺産にもなっています。

恵那峡遊覧船乗り場周辺が県立自然公園恵那峡探勝の拠点。
国の天然記念物に指定される傘岩、ダム湖を眺める恵那峡展望台、恵那峡森林散策路も恵那峡遊覧船乗り場近くにあります。
恵那峡遊覧船の乗り場から峡谷に突き出した半島が「恵那峡さざなみ公園」で、遊歩道が整備されています。
1000本の桜が植栽され、開花期には夜間ライトアップも実施(桜の見頃は例年4月上旬~4月中旬)。

東濃鉄道グループ・東鉄商事の運航する恵那峡遊覧船は、高速ジェット船で付知川との合流点、品の字岩まで周遊。
往復20Km、所要30分のクルーズです。
ダム湖の上には恵那峡大橋(昭和52年完成)が架かっており、渡った先に「恵那峡天界苑」、遊園地の「恵那峡ワンダーランド」があります。

恵那峡と志賀重昴

恵那峡

志賀重昴(しがしげたか)は三河国岡崎康生町(現・愛知県岡崎市)の生まれ。
同じ木曽川で恵那峡の下流側に「日本ライン」という名を付けたのも志賀重昴です。
ダム湖の誕生で恵那峡が誕生したという記述がよく見られますが、恵那峡はダム湖誕生以前の大正9年命名された名称(大井ダムは大正11年着工)。
着工の2年前に志賀重昴はこの峡谷を訪れているのです。

ダム湖の誕生でゴルジュ状の峡谷部分は水没しましたが、代わりに遊覧船という探勝の足を確保し、景勝地として有名になったというのが真相です。

恵那峡
名称 恵那峡/えなきょう
所在地 岐阜県恵那市大井町・中津川市蛭川
関連HP 恵那市観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR恵那駅から東濃鉄道バス恵那峡行きで15分、恵那峡下車、徒歩3分
ドライブで 中央自動車道恵那ICから約4.5kmで市営駐車場
駐車場 市営駐車場(100台/無料)
問い合わせ 恵那市観光協会 TEL:0573-25-4058/FAX:0573-20-0433
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
木曽川

木曽川

長野県木曽郡木祖村の鉢盛山(2446m)を源流に、木曽谷を南下し、濃尾平野を流れて伊勢湾に注ぐ長大な河川が木曽川(きそがわ)。幹川流路延長は229kmで、日本第7位、流域面積9100平方キロは日本第5位の河川です。下流では長良川、揖斐川とと

恵那峡遊覧船

恵那峡遊覧船

大正9年に地理学者で『日本風景論』の著者として知られる志賀重昴(しがしげたか)によって命名された恵那峡。その後大井ダムの完成で、ダム上流の湖を遊覧船で探勝できるようになり、恵那峡の渓谷美が堪能できるようになったのです。東濃鉄道グループの東鉄

大井ダム

大井ダム

木曽川本流が木曽谷から流れ出る中流部、現在の岐阜県恵那市、中津川市(旧蛭川村)に大正11年に着工、大正13年に完成した大井ダム。後に電力王として知られる福沢桃介率いる大同電力が築いたダムで、日本最初のダム式発電所、そして木曽川水系最初のダム

傘岩

傘岩

岐阜県恵那市大井町、恵那峡の恵那峡遊覧船乗船場近くにある奇岩が、傘岩(かさいし)。特異な例の風化及び浸食が見られる貴重な標本として国の天然記念物に指定。苗木城跡や、恵那峡・中津川一帯に多い、苗木花崗岩(黒雲母花崗岩)で、高さ4.5ⅿ、傘のよ

 

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