岐阜県美濃市、町家の屋根の両端に設けられた防火壁が「うだつ」(卯建)。その「うだつ」が日本一の規模で現存する「うだつの上がる町並み」が美濃市美濃町で、美しい家並み9.3haは美濃市美濃町伝統的建造物群保存地区(国の重伝建)に選定されています。
「うだつ」が日本一多く残る町
美濃町は、慶長10年(1605年)に、高山藩主・金森長近(かなもりながちか)が、隠居先として小倉山城を築城したことに伴い、低地にあった上有知(こうずち)の町を丘上に移して城下町を整備したことが起源。
一番町と二番町、それをつなぐ4本の横町で、目の字型の町割り。
一番町と二番町は上、中、下に3区分され、金森長近が町割りを行なった高山城の城下町、飛騨高山に似ています。
長良川の川湊、上有知湊(こうずちみなと=金森長近が開いた川湊)の舟運(下流への舟運の拠点)で江戸時代から明治末まで発展し(明治44年、美濃電気軌道上有知駅開業)、江戸時代を通じて美濃和紙を中心とした商業で繁栄しました。
国の重要文化財に指定された小坂家住宅、美濃史料館となった旧今井家住宅など昔ながらの家並みが健在。
城下町・上有知は丘の上につくられた町で水利に乏しいため、一度火災が発生すると消火に手間取るという欠点がありました。
享保8年(1723年)の大火は上有知の4分の3を焼失し、その後の防火対策として屋根の両端に防火壁の「うだつ」を上げる町家が増えたのです。
大火を契機に一番町通り、二番町通りの道幅を従来の2間から4間に拡幅し、現在の四間道とその両側の家並みになりました。
小坂家住宅は、江戸時代から続く造り酒屋で現存する建物は安永元年(1772年)頃の建築で「うだつ」はゴージャスにも両妻と中央(現在は表側棟際を残すだけ)の3本上がっています。
旧今井家住宅・美濃史料館は、往時の繁栄を留めるかつての和紙問屋。
現存する建物は江戸中期に建てられ、明治初期に増築されたもので、こちらも豪商らしい立派な「うだつ」が上がっています。
もっとも江戸時代の家並みを残すのは、泉町のうだつ連棟と旧今井家住宅・美濃史料館のあたりで、ここが被写体にも絶好です。
岐阜県は国の伝統的建造物群保存地区(重伝建)の多い県で、白川村荻町、高山市三町、高山市下二之町大新町、郡上市郡上八幡北町、恵那市岩村町本通り、そして美濃市美濃町の6ヶ所もあり、古き町並みを探勝することができます。
美濃市美濃町伝統的建造物群保存地区 | |
名称 | 美濃市美濃町伝統的建造物群保存地区/みのしみのまちでんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく |
所在地 | 岐阜県美濃市泉町 |
関連HP | 美濃市公式ホームページ |
電車・バスで | 長良川鉄道美濃市駅から徒歩10分で旧今井家住宅、徒歩15分で小坂家住宅 |
ドライブで | 東海北陸自動車道美濃ICから約3km |
駐車場 | 観光ふれあい広場駐車場(30分まで無料、以降有料)、殿町市営駐車場(35台/30分まで無料、以降有料)、美濃史料館駐車場(20台/無料)や武藤家横の駐車場などを利用 |
問い合わせ | 美濃市教育委員会人づくり文化課 TEL:0575-35-2711 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag