谷川岳・西黒尾根

谷川岳・西黒尾根

群馬県(利根郡みなかみ町)・新潟県(南魚沼郡湯沢町)の県境(上越国境)にそびえる谷川岳。山頂・オキノ耳(1977m)の南、トマノ耳(1963m)から南へ派生し、谷川岳ロープウェイ土合口駅と至る稜線が西黒尾根。登山口は標高800mで、一気にトマノ耳へと登り詰めるルートは、日本三大急登にも数えられています。

日本三大急登に数えられる尾根道は、かつてのメインルート

谷川岳・西黒尾根

北アルプス裏銀座・烏帽子岳に登るブナ立尾根、南アルプス北部の甲斐駒ヶ岳に至る黒戸尾根とともに、日本三大急登に数えられる西黒尾根で、標高差は1160mほど。
昭和3年10月30日、上越線後閑駅〜水上駅間の延伸、昭和6年9月1日、水上駅〜越後湯沢駅間延伸開業(清水トンネル開通)、「土合山の家」開業(昭和6年)に伴い、上野駅から夜行列車を利用した登山者が列を成して登山した夏山のメインコースがこの西黒尾根です。
伊吹山(滋賀県)、三ツ峠山(山梨県)とともに、昭和30年代までは大人気の登山道で、夜の上野駅で登山の姿をした人を見かければ、大部分が谷川岳登山者(西黒尾根、あるいはマチガ沢ルート)だったのです。

現在の谷川岳登山は、ロープウェイを使った天神平から登る天神尾根コースがポピュラーですが、現在でも山岳部などが鍛錬を目的に選ぶのが、この西黒尾根です。

1516m地点がラクダの背(ラクダのコブ)、マチガ沢ルートとの合流点がラクダのコル(コル=鞍部)あるいはガレ沢のコルと通称され、ラクダの背(ラクダのコブ)は、谷川連峰が眼前に雄大に広がる絶景の地となっています。
ラクダの背(ラクダのコブ)の取り付きには3ヶ所のクサリ場があるので注意が必要です。

南側に西黒沢を隔てて天神尾根、北側にマチガ沢を隔てて東尾根、その北に一ノ倉沢という位置関係です。
マチガ沢ルート(巌剛新道)もラクダのコルで西黒尾根に合流します(春~夏にかけてはマチガ沢の雪を眺めながら登るルートです)。

コルからザンゲ岩までの間に、クサリ場が連続するので、行動慎重に。
広い岩尾根になった先には氷河の痕跡(擦痕)を示す一枚岩があるのでお見逃しなく。
氷河が岩を削り取った擦痕で、マチガ沢には削り取られた氷河堆積物(モレイン=moraine、堆石)もあり、谷川岳に氷河が発達していた証の氷河地形になっています。

ザンゲ岩の先、肩の広場から稜線沿いにトマノ耳を目指すこともできますが、肩ノ小屋に寄り道し、休息を取ることも可能です。
登山をテーマとするストーリー漫画『ヤマノススメ』にも登場する山小屋で、グリーンシーズンは有人小屋として2食付きにも対応しています(宿泊には予約が必要)。

谷川岳・西黒尾根
ラクダの背(ラクダのコブ)から眺めた谷川連峰

谷川岳・西黒尾根 コースタイム

上越新幹線・上毛高原駅〜(関越交通谷川岳ロープウェイ行きバス50分/上越線・水上駅からなら所要25分)〜谷川岳ロープウェイ土合口駅〜(徒歩3時間)〜 ラクダのコル ・ガレ沢のコル〜(徒歩2時間)〜谷川岳・肩ノ小屋〜(徒歩15分)〜谷川岳山頂・トマノ耳〜(徒歩10分)〜谷川岳山頂・オキノ耳

注/JR上越線・土合駅〜谷川岳ロープウェイ土合口駅は徒歩20分ほどです

谷川岳・西黒尾根
名称 谷川岳・西黒尾根/たにがわだけ・にしくろおね
所在地 群馬県利根郡みなかみ町湯桧曽
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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