徳川御三家・水戸徳川家の居城、水戸城は、北を那珂川、南を千波湖に挟まれた、日本最大級の土造りの城。大規模な土塁と深い堀によって防備された城で、江戸時代には三階櫓が代用天守として水戸のシンボルになっていました。土塁や堀、藩校弘道館や薬医門などが現存し、「日本100名城」にも選定されています。
江戸時代には水戸徳川家の居城に!
現在の水戸市の中心、水戸駅北側の丘陵地帯に築かれた連郭式の平山城。
鎌倉時代初めの建久年間(1190年〜1198年)、源頼朝配下の大掾資幹(だいじょうすけもと=馬場資幹)が、その拠点を那珂郡吉田郷から那珂川の舟運の河湊が活用できる馬場(現在の水戸)に城を構えたのが始まり。
戦国時代には、江戸通房(えどみちふさ)、江戸重通(えどしげみち)ら常陸江戸氏の居城となりましたが、1590(天正18)年、豊臣秀吉の小田原攻めの際に江戸重通が北条氏側に加担したため、佐竹義重・義宣父子が馬場城に入り、常陸国を統一しています。
その際に馬場城を水戸城に改め(那珂川の舟運の水の玄関口で、水の戸から水戸)、城を大改修しています。
佐竹義宣は1600(慶長5)年、関ヶ原の戦い後に、徳川家康から水戸を追放され、代わって徳川家康の五男・松平信吉(武田信吉)が入城。
松平信吉は、生来病弱であったため、21歳で死去。代わって徳川家康の十男・徳川頼宣(とくがわよりのぶ)に与えられますが、実際には水戸には入らず、父・家康の許で育てられています。
さらに徳川家康の十一男・徳川頼房(とくがわよりふさ)が1609(慶長14)年、水戸城25万石を領しています。家康存命中は徳川頼房も駿府城で育てられていますが、家康没後に水戸城に入って常陸水戸藩の初代藩主、水戸徳川家の祖となっています。
徳川頼房は、水戸城と城下町を拡充。二の丸に居館を構え、さらに代用天守として二の丸に内部は5階建て構造の「三階櫓」(御三階櫓)を建築(空襲により焼失した天守で、復元、再建されていないのは水戸城・御三階櫓のみ)。
土塁と堀割が現存
主郭部分は上市台地の地形を利用し、4つの曲輪(くるわ)を構築しています。西から下の丸、本丸、二の丸(三階櫓、表御殿、奥御殿)、三の丸と続いています。
それぞれの曲輪には土塁と堀が設けられていましたが、なかでも本丸、二の丸、三の丸の北西に設けられた土塁と堀切は壮大で、国内最大級の土造りの平山城として知られています。
初代の三階櫓は、1764(明和元)年に焼失。1766(明和3)年に再建された三階櫓は昭和20年の水戸空襲で焼失しています。
徳川御三家の名古屋城、和歌山城が実戦的な城であるのに対し、江戸に近いこともあって水戸城は政庁としての機能が重視された造りになっていました。
藩校・弘道館、薬医門などが往時の雰囲気を今に伝える
明治4年、廃藩置県により廃城となり、三階櫓などを除いて多くの建物が破却されました。
往時の本丸には、茨城県立水戸第一高等学校が建ち(見学目的での立ち入りは可能)、藩主が暮らした二の丸には茨城県立水戸第三高等学校、茨城大学教育学部附属小学校・附属幼稚園などの敷地となっています(二の丸は道路以外の立ち入り不可)。
三の丸には水戸藩藩校だった弘道館(国の重要文化財、特別史跡)が現存。県庁三の丸庁舎も旧三の丸です。水戸市立三の丸小学校の敷地部分は立ち入りができません。
橋詰門(薬医門/茨城県指定有形文化財)は、旧本丸の茨城県立水戸第一高等学校敷地に移築されて現存(銅板葺に変更)。
本丸と二の丸の間の堀は水郡線の鉄道用地に、二の丸と三の丸の間の堀は道路(県道232号市毛水戸線)に転用されています。
現在、水戸城の整備計画が進んでおり、那珂川方面からの登城口である「杉山御門」、南からの登城口の「柵町坂下御門」が再生整備されています。
令和2年に大手門復元、二の丸角櫓、二の丸土塀(ただし鉄筋コンクリート製)が令和3年復元されています。
有名な『大日本史』編纂事業が行なわれていた旧彰考館跡には、その記念碑とともに「二の丸展示館」が設置され、水戸城からの出土遺物や水戸城に関する資料などを展示しています。
正保城絵図に見る 水戸城
正保年間(1644年~1648年)に幕府が諸藩に命じて作成、提出させた全国各地の城郭図『正保城絵図』に見る水戸城・水戸城下は、千波湖が今に比べて巨大だったことがわかります。
面積でいうと現在の千波湖の3.8倍という規模で、水戸城南側の掘割の役目を果たしていました。
水戸城の城郭部分。西側に三の丸が配され、二の丸入口に大手門、さらに本丸、下の丸が続き、搦手側(からめてがわ=裏側)に浄光寺門が配されていました。
水戸城 | |
名称 | 水戸城/みとじょう |
所在地 | 茨城県水戸市三の丸 |
関連HP | 水戸観光コンベンション協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR常磐線水戸駅から徒歩10分 |
ドライブで | 北関東自動車道水戸南ICから約8km。または、常磐自動車道水戸ICから約10km |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 弘道館事務所 TEL:029-231-4725 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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