小堀の渡し

茨城県取手市内を流れる利根川を渡る取手市営の渡船が小堀の渡し(おおほりのわたし)。市内中心部と小堀(おおほり)地区を結んで長さ9.99mの鉄船「とりで号」が運航しています。市道の扱いなので乗船は無料。自転車、原動機付き自転車(50cc以下)は1人1台まで無料。ペットはケージに入れれば乗船可能です。

大正時代に始まった利根川の渡船が健在!

乗船場は、取手緑地運動公園側にあるJR常磐線鉄橋下の取手ふれあい桟橋、緑地運動公園駐車場前と対岸の小堀船着場の3ヶ所。

利根川は、取手市の南(現在の小堀地区・古利根沼)を蛇行して流れていましたが、小堀周辺では浅瀬で船の通行にも支障をきたしたため大正9年に利根川河川改修が行なわれ、当時、地続きだった小堀地区は、相馬郡井野村(現・取手市)から分断。
地域住民によって渡船場の設置が協議され、渡し舟の運航を開始しました。

利根川の渡し船は往時には各地にありましたが、現存するのは、小堀の渡しのほか、葛和田の渡し(赤岩渡船/埼玉県熊谷市〜群馬県千代田町=群馬県営渡船)の2ヶ所のみ。

江戸時代〜明治時代には貴重な足だった渡船も、今では貴重な風物詩になっています。

江戸時代には利根川の渡しは大活躍

利根川を隔てて両岸には、1775(安永4)年、観寛光音(かんかくこうおん)が開いた「新四国相馬霊場八十八ヶ所」があり、江戸時代には四国八十八ヶ所巡りが大流行。
利根川をまたいで点在する札所を、渡し舟に乗って行き来しながら、当時は2泊3日で回れる距離(68km)が評判で、「取手の春はお遍路さんの鈴の音と共にやってくる」というほどの賑わいをみせたのだとか。
1763(宝暦13)年には、当時、江戸・本所の羅漢堂で爆発的なブームを呼んだ栄螺堂(さざえどう)を長禅寺(取手市取手2-9-1)の境内に建築しています。
それが長禅寺三世堂で毎年4月18日にのみ公開されています。

小堀の渡し
名称小堀の渡し/おおほりのわたし
所在地茨城県取手市小堀
関連HP取手市公式ホームページ
電車・バスでJR取手駅から徒歩12分で取手ふれあい桟橋
ドライブで常磐自動車道谷和原ICから約14km。柏ICから約15km
駐車場取手緑地運動公園駐車場を利用
問い合わせ取手市水とみどりの課 TEL:0297-74-2141/FAX:0297-72-2682
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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