承応3年(1654年)、明(現在の中国福建省)から渡来した隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師が後水尾法皇や4代将軍・徳川家綱の尊崇を得て、寛文元年(1661年)、宇治に開創した黄檗宗(おうばくしゅう)の大本山が黄檗山萬福寺。黄檗宗は臨済宗、曹洞宗と並ぶ禅宗のひとつです(江戸時代までは臨済宗黄檗派)。
伽藍建築・文化などはすべて中国の明朝様式という宇治の名刹
黄檗山萬福寺の伽藍(がらん)は中国の明朝様式を取り入れた配置で、三門から天王殿(てんのうでん=弥勒菩薩の化身とされる布袋像を安置)、大雄寶殿(だうおうほうでん=本堂や仏殿にあたる堂)、法堂(はっとう)が一直線に並んでいます。
天王殿、大雄寶殿、法堂は国宝。
法式(儀式作法など)やお経も中国で行われていたものを忠実に継承し、経文も唐音とよばれる中国語を基本とする読みとなっています。
隠元禅師を祀る開山堂は、延宝3年(1675年)の建立で国の重要文化財。
このほか総門、三門、鼓楼など国の重要文化財に指定された江戸期の建物が数多く残されています。
山内では隠元が伝えた普茶料理(ふちゃりょうり)を味わうことができます(予約制)。
「普茶」とは、普く多数の人にお茶を差し上げるという意味で茶礼という儀式のあとに出される中国風の精進料理を指す言葉。
新鮮な素材、季節の野菜を使った、高タンパクで低カロリーなヘルシー料理。
4人1組の食卓で味わう作法もユニークです。
コースは2名以上で予約が必要。
4月3日に『宗祖隠元禅師開山祥當忌』、10月5日に『達磨忌』、10月中旬(第3金曜から4日間)には『普度勝会』(ふどしょうえ)という中国風の祭りも行なわれています。
黄檗山萬福寺 3つのチェックポイント
隠元禅師が開いた中国風寺院
予約で普茶料理が味わえる
江戸時代の大伽藍は国の重文
中国の黄檗山萬福寺で得度しています。
長崎の興福寺(日本最古の黄檗宗の寺)住持の逸然性融が、隠元を日本に招請し、承応3年(1654年)7月5日、長崎へ入港。
興福寺の後、崇福寺、普門寺に晋山した後、当初、3年の滞在という約束と、本国からの再三の帰国要請に反して宇治に黄檗山萬福寺を開山。
隠元が来日した際に日本に持ち込んだためにその名がついたインゲンマメのほか、スイカ、レンコン、孟宗竹(タケノコ)、木魚(もくぎょ)のルーツとなる魚板なども隠元由来、あるいは隠元が普及させたといわれています。
煎茶(湯を注ぐだけの簡単な喫茶法)も隠元が明時代の散茶(固めていないお茶)を、日本にもたらして発展したとされ、今ある多くの文化が隠元に由来することがわかります。
黄檗山萬福寺 | |
名称 | 黄檗山萬福寺/おうばくさんまんぷくじ |
所在地 | 京都府宇治市五ヶ庄三番割34 |
関連HP | 黄檗山萬福寺公式ホームページ |
電車・バスで | 京阪電鉄黄檗駅・JR黄檗駅から徒歩7分 |
ドライブで | 京滋バイパス宇治東ICから約1.4km。または、宇治西ICから約3.7km |
駐車場 | 萬福寺駐車場(60台/有料、普茶弁当・料理を味わった場合は無料) |
問い合わせ | 黄檗山萬福寺 TEL:0774-32-3900/FAX:0774-32-6088 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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