【見学ガイド】大王埼灯台

大王埼灯台

三重県志摩市大王町、志摩半島の南東端の太平洋を一望する海食台地の断崖、大王崎に建つのが大王埼灯台。灯台の建つ岬は波切(なきり)と呼ばれ、その沖合は遠州灘と熊野灘がぶつかる場所。まさに荒波を切り分ける地に灯台が建っているのです。「日本の灯台50選」にも選定。

灯塔の基部には扇形をした2階建ての付属舎も

大王埼灯台

この地は奈良時代には、すでに海上監視の防人(さきもり)が置かれた沿岸航路の要衝。
高さ8.4mの大王岩(大王島)が屹立するほか、暗礁などもあり、「伊勢の神崎、国崎の鎧、波切大王なけりゃよい」と昔から船頭たちに恐れられた難所で、難破する船が多数あったとか。
灯台の建つ台地には九鬼水軍の城塞・波切九鬼城もあり、城跡は城山と呼ばれています。

大正2年、サンマ漁船が遭難し、死者51名を出すという大惨事に。
大正7年には日露戦争で日本海海戦に参加、第一次世界大戦では南シナ海方面の警備に従事した巡洋艦「音羽」(おとわ/3048t)が濃霧のため大王岩の激突して座礁、沈没するなどして、建設の機運がまり、ようやく昭和2年10月5日に初点灯しています。

鉄筋コンクリート造りの灯塔は円形ですが、大正時代の技術では四角形だったので、飛躍的に建築技術が進歩したことがわかります。
しかも灯塔の基部には扇形をした2階建ての付属舎を有するというユニークな灯台になっています。

大王埼灯台
基部には扇形の建物が

「絵描きの町」大王町のシンボル的な存在

灯塔の高さは22.5m、海面から灯火までの高さ45.53mの灯台は、強風時を除き灯火部分まで上ることもできる参観灯台。
光達距離は白光が18.5海里(34km)、赤光17.5海里(32km)で、毎30秒に白1せん光赤1せん光。
螺旋(らせん)階段で灯火部分に上れば、志摩半島や太平洋など360度のパノラマを得ることができます。

昭和53年に灯塔の大改修を実施。
平成16年に無人化、平成25年には国の登録有形文化財に指定されています。
大王埼灯台ミュージアム(大王埼灯台資料展示室)を併設。

「絵描きの町」大王町のシンボル的な存在ですが、灯台に至る道の途中には真珠や宝石を売る店が並んえいます。
これも大王崎らしいところ。

大王埼灯台は映画『浮草』(小津安二郎監督)、『君の名は』(大庭秀雄監督)、『学校の怪談4』(平山秀幸監督)、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』(田﨑竜太監督)のロケ地としても有名。

志摩市大王町は「絵描きの町」

志摩半島の中央にある志摩市大王町波切は実に絵になる町。
映画やテレビのロケも多く、またスケッチに訪れる人も多いので町は「絵描きの町」を売り出し中。
そんな大王町にあって一番絵になるのが大王埼灯台とそのたもとにある波切漁港です。
とくに八幡社のある八幡さん公園には、多くの絵心のある人が集まるポイント。

灯台周辺は百科事典にも登場の典型的な海岸段丘。
北へ下ったところにあるのが波切漁港で、坂道に軒を連ねる家並み、アジやイカを天日に干す光景など、周辺にはスケッチや撮影のポイントが数多くあり、こちらも絵心のある人はぜひ訪ねたい場所のひとつになっています。

【見学ガイド】大王埼灯台
名称大王埼灯台/だいおうさきとうだい
所在地三重県志摩市大王町波切54
関連HP伊勢志摩観光コンベンション機構公式ホームページ
電車・バスで近鉄鵜方駅から三交バス御座行き、または越賀中学校前行きで20分、大王埼灯台下車、すぐ
ドライブで伊勢二見鳥羽ライン鳥羽ICから約34km
駐車場200台/有料
問い合わせ志摩市観光協会 TEL:0599-46-0570/FAX:0599-46-1113
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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