【重要文化財】菅島灯台

三重県鳥羽市、鳥羽の沖合いに浮かぶ菅島(すがしま)の東端に建つのが菅島灯台。明治6年7月1日に初点灯という歴史ある灯台で、「日本の灯台の父」といわれる英国人技師リャード・ヘンリー・ブラントンが設計。現役では日本最古のレンガ造り灯台で、日本最古の現洋式灯台です。国の重要文化財に指定。

近代化産業遺産、国の重要文化財にも指定される灯台

菅島灯台

寛永10年(1670年)、西廻り航路(日本海の北前船で下関を回り、瀬戸内海、紀伊半島を経由、江戸を結ぶ航路)が開発されてから菅島周辺の海では難破する船が続出。
延宝元年(1673年)、西廻り航路の安全確保のため、河村瑞賢(かわむらずいけん)の提案で篝火(かがりび)を焚いて航路の安全を確保する「御篝堂(おかがりどう)」を設置したのが灯台の前身。

明治維新後、リャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)の指導の下、渡鹿野島(わだかのじま/現・三重県志摩市)の瓦師・竹内仙太郎が焼成した国産のレンガを使い、明治6年7月1日に初点灯したのが菅島灯台です。
日本初の円形レンガ造りで、日本最古の現役灯台となっています。

初点時の光源は、中国産の落花生油でしたが、大正8年9月8日、乙式石油灯器に変更、後に電化されています。

塔高はわずか9.7mですが、高台に建つため平均海面から灯火部分までは54.5mもあります。
光達距離は20.0海里(37km)で、毎4秒に1閃光。

明治6年7月8日に行なわれた完成の祝賀会には参議だった西郷隆盛など当時の政府高官が多数出席しています。
灯台の退息所(付属官舎)もレンガ造りの洋式住宅でしたが無人化後にお役御免となり、現在、愛知県犬山市の明治村に移築保存され、昭和43年重要文化財の指定を受けています。
灯台自体もその歴史的な価値から、経済産業省のの近代化産業遺産、国の重要文化財、さらに「日本の灯台50選」、Aランクの保存灯台に指定されています。

菅島小学校では観光客を案内する「しまっこガイド」も活躍しており、子ども達は灯台も案内しています。

かつての退息所(灯台職員の住宅)は博物館明治村に

品川台場の中の第二台場に設けられた品川灯台(ヴェルニー設計)が明治3年3月5日初点灯で、現存する灯台では最古ですが、明治村(国の重要文化財・品川燈台)に保管されているため、現役では菅島灯台が最古となっています。
品川灯台がフランス人の手による灯台なのに対し、菅島灯台はブラントンを頭とする工部省燈台局のイギリス人技術者の設計管理。
明治初期の洋式灯台では、当初、灯火の管理も外国人によっておこなわれたため、付属する官舎もレンガ造の洋式住宅が建てられました。
昭和34年に無人化され、灯台守が生活した退息所(灯台職員の住宅)は、博物館明治村に移築保存され、国の重要文化財に指定されています(国の重要文化財・菅島燈台附属官舎)。

【重要文化財】菅島灯台
名称菅島灯台/すがしまとうだい
Sugashima Lighthouse
所在地三重県鳥羽市菅島町ボシ山163
関連HP鳥羽市公式ホームページ
電車・バスで鳥羽マリンターミナルから市営定期船で約13分、菅島下船。菅島港から徒歩20分
ドライブで伊勢二見鳥羽ライン鳥羽ICから約5kmで鳥羽マリンターミナル
駐車場佐田浜(第1・第2・第3)駐車場/1時間まで無料、以降有料
問い合わせ鳥羽市観光課 TEL:0599-25-1157/FAX:0599-25-1159
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