島根県松江市大庭町にある神魂神社(かもすじんじゃ)は、出雲国造り家の祖を祀る古社で、神社自体が古代出雲文化を今に伝える文化遺産。「大庭の大宮さん」と地元では呼ばれています。祭神は伊弉冉尊(いざなみのみこと)、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)で、高床式の本殿の創建は出雲大社の本殿建立より400年も前に遡ると伝えられます。
古代出雲文化を今に伝える古社
出雲国府に近い古代出雲の中心地に建つ社で、社伝によれば天穂日命(あめのほひのみこと)が高天原から降臨して創建したと伝えられています。
神坐所(かみいますところ)が転じて神魂(かもす)になったとも。
社殿背後の山には宿根岩(天之磐座)と呼ばれる巨石群があり、神が降臨した磐座(いわくら)といわれていますが、私有地(淞南学園所有)のため、許可なく立ち入ることはできません。
ただし、神魂神社は、奈良時代編纂の『出雲国風土記』、平安時代編纂の『延喜式神名帳』には記載がなく、歴史的には承元2年(1208年)の鎌倉将軍下文が最初のため、社殿などは中世の創建とも推測できます。
大社造の本殿は、国宝!
国宝に指定された現在の本殿は、現存する大社造の本殿では最古のもので天正11年(1583年)の建築。
本殿の屋根の前後を飾る千木(ちぎ)の先端が水平に切ってある(内そぎ)のは祭神が女神であることを示しています(出雲大社は男神のため外そぎ=すべての神社が男女の区別があるとは限りません)。
本殿の内部には極彩色の壁画が残されています。
末社の貴布祢稲荷両神社本殿は、天正11年(1583年)の築で国の重要文化財。
神社に伝わる古い鉄釜は、出雲国造の祖神・天穂日命がこれに乗って降臨したと伝え、毎年12月13日には御釜神事(おかましんじ)が斎行されています。
歴史的には、一帯がたたら製鉄が盛んで、古代出雲文化の中心だったことの証しに。
11月11日〜18日には、神在祭(かみありさい)も執り行なわれています。
六社巡りの行なわれる意宇六社(旧意宇郡の六社)の一社。
意宇六社は、現在はすべて松江市内で、神魂神社のほか、熊野大社、真名井神社、揖夜神社、六所神社、八重垣神社。
もともとは古代の高床式倉庫から発展したものと推測され、穀物の代わりに神宝を収め、崇めるようになったもの。
神社建築中最古の形式がこの大社造で、古代宮殿の形式を伝える古代出雲ならではのスタイルとなっています。
中央には神聖な「心御柱」が立ち、ほか9本の柱で田の字形を支えています。
屋根は檜皮葺(ひわだぶき)、棟の上にはクロスする千木と並行に並ぶ鰹木(かつおぎ)が上がっています。
神魂神社では10本の柱、屋根の千木なども間近に観察できるので、ぜひ大社造の構造を確認してみましょう。
神魂神社 | |
名称 | 神魂神社/かもすじんじゃ |
所在地 | 島根県松江市大庭町377 |
関連HP | 松江観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR松江駅から一畑バス八雲車庫行きで15分、風土記の丘入口下車、徒歩10分 |
ドライブで | 山陰自動車道松江玉造ICから約5.2km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 神魂神社 TEL:0852-21-6379 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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