日光国立公園に数多くある堰き止め湖の中で一番大きいのが中禅寺湖(ちゅうぜんじこ)。標高1269m、周囲21km、南北1.8km、東西6.5kmの大きさ。最深部は163mで、男体山が約2万年前に噴火した際にできたものと推定されています。人造湖を除けば日本一標高の高い所にある大きな湖。湖畔に中禅寺があるのが名の由来です。
明治時代には欧米人の避暑地として注目された!
奥日光の定義は様々ですが、本来はいろは坂から見える屏風岩を境にするので、中禅寺湖は奥日光ということに。
明治5年に女人牛馬禁制が解かれるまで女性は男体山登山はおろか中禅寺湖まで足を伸ばすことができませんでした。
その後、明治時代には欧米各国の外交官が訪れ、軽井沢同様に別荘地として注目。
現在も湖畔にフランスやベルギーなど4ヶ国の大使館別荘が建っています。
中禅寺温泉にある船の駅中禅寺を起点に中禅寺湖遊覧船も就航しているので湖上からの景色も楽しめます(一周航路、船の駅中禅寺~菖蒲ケ浜~立木観音〜船の駅中禅寺、船の駅中禅寺→菖蒲ケ浜→千手ケ浜)。
明治6年、文明開化という時勢を反映して二荒山神社の宮司・柿沼広身がその宗教的な戒律を解き、日光・細尾の住人・星野定五郎がイワナが2200尾を放流。
その後、コイ、フナ、ドジョウ、ウナギが放流されたほか、ビワマス(アメノウオ)を琵琶湖から、ニジマスをカリフォルニア(アメリカ合衆国)から、カワマスがコロラド(アメリカ合衆国)から、ヒメマスが支笏湖(北海道)と十和田湖(青森県・秋田県)から移殖(現在、日光で養殖されるニジマスは、カリフォルニアから移植された子孫)。
中禅寺湖から流れ出る湖水は、華厳滝として落下していますが、この滝が魚止めの滝として、魚の遡上を阻み、さらに殺生を禁じる仏教的な理由から、中禅寺湖とそれより奥の河川には魚が生息していませんでした。
明治19年、大島藤三郎が魚の採卵・養殖を行うことを条件に漁業組合を創立。
その後は、欧米人の避暑の地として、スポーツフィッシングの湖として注目を集め、長崎のグラバー邸の主、、トーマス・グラバーも明治22年、中禅寺湖で初めて釣りを楽しみ、湖畔の大崎に別荘を建て、夏になると釣りに明け暮れていたのです。
明治35年に、グラバーは、イギリス領事館員のハロルド・パーレットとともにブルックトラウトの卵2万5000粒をコロラド州から取り寄せ、中禅寺湖に放流しています。
奥日光で釣られるブルックトラウトを「パーレット鱒」と呼ぶのは、このハロルド・パーレットに由来しています(ただし、実際にはグラバーの発案と出資によって放流されたもの)。
今日でも中禅寺湖、そして戦場ヶ原は日本有数のフライフィッシングのメッカで、毎年稚魚の放流が行なわれ、湖の東側部分はニジマスやヒメマスのフィッシングスポットとして人気となっています。
中禅寺湖 | |
名称 | 中禅寺湖/ちゅうぜんじこ |
所在地 | 栃木県日光市中宮祠 |
関連HP | 日光市観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR日光駅・東武日光駅から東武バス中禅寺温泉行き、または湯元温泉行きで45分、中禅寺温泉下車、すぐ |
ドライブで | 日光宇都宮道路清滝ICから約15km |
駐車場 | 県営歌ヶ浜駐車場(150台/無料) |
問い合わせ | 日光市観光協会日光支部 TEL:0288-54-2496 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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